新幹線旅行の醍醐味(だいごみ)といえば、駅弁だ。乗車前に台北駅で「台鉄弁当」を買い求めた。台湾鉄路公司(国営台湾鉄路股份有限公司)が販売する伝統的な駅弁で、排骨(パイグー/豚の骨付き肉)が乗ったものが特に有名である。見慣れた新幹線の車窓から台湾の景色を眺めながら頬張る駅弁。

 これが、旅の満足度を何倍にも引き上げてくれた。

台鉄弁当 Photo by K.O.

数字で並べてみると
もっと面白い

 運賃の安さも驚きである。台北から台南まで最短約1時間20分強。指定席の料金はわずか1350台湾ドル(円安の現在でも6700円程度)。こうした速さと運賃、運行の便利さを備えた台湾新幹線との競争で、台北―台南や台北―高雄の航空路線が廃止に追い込まれた。当然である。

 距離あたりの運賃を比較してみても面白い。

 日本の東海道新幹線(東京―新大阪、515.4km)は、「のぞみ」の普通車指定席・通常期で片道1万4720円で、1キロあたり約28.6円。台湾新幹線(台北―左営、約339km)は、普通車指定席の通常運賃が1490台湾ドル。片道1キロあたり約4.4台湾ドル、円換算で約22円となる。

 Whoosh(ジャカルタ―バンドン、約142km)は変動運賃制で、プレミアムエコノミーの片道運賃が35万ルピアの場合は、円換算で1キロあたり約22円となる。

 距離あたりの運賃を日本円に換算すると、台湾とインドネシアの運賃水準は同じくらいに見える。ただし、現地の利用者にとっての負担は異なる。

 経済的な豊かさの目安となる2025年の1人当たり名目GDPは、台湾が約3万9500米ドル、インドネシアが約5100米ドルと、約7.8倍の開きがある。円換算した運賃が同程度だからといって、現地の人にとっての手頃さまで同じとは限らない。

駅弁を買って
左営まで

 運賃に加えて、旅全体がスムーズだったことも印象に残っている。