「自分は何がしたいのか」と聞かれても、すぐに答えが浮かばない人も多い。やりたいことを見つけようとしても、考えるほど分からなくなることもある。『仕事・人間関係で損する人、得する人』の著者・伊庭正康氏に、自分が進みたい方向を見つけるための考え方を聞いた。(構成/照宮遼子、ダイヤモンド社書籍編集局)

「やりたいこと」が見つからない人がやるべきこと・ベスト1Photo: Adobe Stock

ベスト1:「求められた仕事」でスキルと信頼を積み上げる

――周囲の期待や世の中の価値観に影響されて、自分がどうしたいのか分からなくなっている人もいます。そういう場合は、どうしたらいいのでしょうか。

伊庭正康(以下、伊庭):最初から「自分はこれをしたい」と分かっている人は、決して多くありません。ですから、最初の段階では、人から求められた仕事に取り組むところから始めてもいいと思います。

――まずは目の前の仕事を経験することにも意味があるんですね。

伊庭:はい。求められた仕事にしっかり取り組む中で、スキルが身につき、周囲からの信頼も得られます。仕事に向き合う姿勢も、そうした経験を通して養われていきます。人から任された仕事でも、自分なりにやりがいや学ぶ意味を見いだせているなら、それでいいんです。そうやって積み上げたものは、将来自分で道を選ぶときの大きな力になります。

「もっとやりたい」が次の方向を教えてくれる

――では、目の前の仕事を続けながら、自分のやりたいことはどう見つけていけばいいのでしょうか。

伊庭:ただ、目の前の仕事に取り組むだけではなく、どこかで自分が何をしたいのかを考える段階に進む必要があります。仕事をしているうちに、「本当はもっとこんなこともできるのに」「こちらの仕事もやってみたい」と感じ始めることがあります。そういう気持ちが出てきたら、自分がこの先やりたいことを考えるタイミングです。

――そうやって仕事を続ける中で、次にしたいことが見えてくるんですね。

伊庭:そうですね。今の仕事にやりがいがあっても、少し物足りなさを感じるようになることがあります。そんなときは、その気持ちをそのままにせず、自分はこの先どうしたいのかを考えてみるといいと思います。

経験を重ねる中で、やりたいことが広がっていく

――伊庭さんも、会社員として経験を重ねる中で、そうした変化があったのでしょうか。

伊庭:私は会社員時代に、営業、営業管理職、部門責任者など、さまざまな仕事を経験しました。どの仕事にもやりがいはありましたが、その中で「仕事のやり方をもっと多くの人に伝えたい」「より成果の出る組織づくりを支援したい」という思いが強くなっていったんです。

――それまでの仕事を続ける中で、新しくやりたいことが見えてきたわけですね。

伊庭:そうです。私の場合は、その先に独立という選択がありました。ただ、大事なのは独立することではありません。仕事をする中で生まれた「次はこうしたい」という感覚に気づくことです。それをそのままにせず、自分はこの先何をしたいのかを考えていくことで、進みたい方向が少しずつ見えてきます。

考えているだけでは「答え」は見つからない

――そうした感覚を、自分の基準につなげるには何が大切でしょうか。

伊庭:本当にやりたいことは、頭の中だけで探すものではありません。仕事をする中で「自分の中に生まれた感覚」に目を向けることが、自分の基準を取り戻す第一歩です。

――たしかに仕事をする中で、日々の気づきを意識すると次の展開が見えてきそうです。

伊庭:今の時代、仕事の選択肢は誰にでも複数あります。『仕事・人間関係で損する人、得する人』の中にも、自分の生き方を見直すヒントがあります。日々の仕事をしながら、自分の中に出てきた「次にやりたいこと」にも目を向けてほしいですね。