「家賃は捨て金。家を買えば資産が残る」――マイホームを買う理由として、いまもよく聞く言葉だ。ところが、人口減少と空き家の増加で、買った家が「資産」どころか、売るに売れない「負動産」になるケースもある。「家を買うのが当たり前」という常識は、いったいどこから生まれたのか。※本稿は、実業家の堀江貴文『やってはいけない 絶対損する金の使い方』(徳間書店)の一部を抜粋・編集したものです。

「夢のマイホーム」は
経済政策から広がっていった

堀江貴文氏堀江貴文氏 提供:徳間書店

 夢のマイホーム――。昔から日本人は、家を持つことを人生の夢だと刷り込まれてきた。時代が変わっても、この夢は多くの人のなかで生きている。実はこの夢を植えつけたのは国と業界だ。半世紀かけて仕掛けた、よくできたプロパガンダなのである。

 はじまりは1960年。時の池田勇人内閣が「所得倍増計画」を打ち出した。10年で国民の所得を倍にするという計画の柱の1つに、住宅の建設が据えられた。住宅建設が幅広い産業を動かすからだ。

 土地が取引され、材木や鉄骨、セメントが売れ、キッチンや風呂といった設備が必要になる。大工や職人にも仕事が生まれる。引っ越せば冷蔵庫も洗濯機もカーテンも買い替える。これほど広く経済を回す商品はそうそうない。だから国は、国民に家を持たせる方向へ本気で舵を切った。

 ただ、大きな壁があった。家は人生でいちばん高い買い物と言われる。何千万円もポンと払える人はそうそういない。その壁を壊したのが「住宅ローン」である。頭金さえ用意すれば、大した貯金がなくてもマイホームが手に入る。

 この住宅ローンの登場によって家は飛ぶように売れはじめた。銀行は何十年ものあいだ利息を受け取り続けられる。国は経済が回って税収が増える。住宅の売り手も、ローンの貸し手も、国も、みんなが得をする仕組みとして機能した。