人が減っていく地方や郊外の家の末路は悲惨だ。売ろうにも売れなくなる。2023年、全国の空き家数は900万戸を突破して過去最多を更新した。およそ7戸に1戸が空き家で、この30年で約2倍。和歌山や徳島では5戸に1戸が空き家である。

 900万戸のうち385万戸は貸す予定も売る予定もなく、ただ放置されている。

 相続したはいいが住む人はおらず、売りたくても買い手がつかない。売れない家はこれからも増え続ける。

 家が売れないことの弊害は2つある。1つは、住む場所を自由に変えられなくなることだ。子どもが生まれて手狭になっても、逆に子どもが独立して部屋が余っても、簡単には住み替えられない。年を取って階段の上り下りが負担になっても同じだ。本来なら、そのときの家族構成や年齢、暮らし方に合った家に移ればいい。でもいまの家が売れないとそれができない。

 住宅ローンが残っていれば、さらに身動きは取りづらくなる。毎月の返済がある以上、いまの収入を簡単には手放せない。給料が下がる転職も、先の読めない独立も選びにくくなる。家を買ったことで住む場所が固定され、ローンが働き方まで縛る。結果として、人生の選択肢が狭くなっていく。

 もう1つは、資産どころか「負動産」になることだ。誰も住まなくなっても固定資産税は毎年取られる。取り壊すだけで100万円は下らないし、更地にすれば土地の税金は3~4倍に跳ね上がる。残しても壊しても、どちらもお金が出ていく。親がよかれと思って建てた家が、子どもを縛る重荷に変わるのだ。

年を取ると借りられない
状況は変わりつつある

 賃貸で最後まで残る不安は「年を取ると部屋を借りられなくなる」というやつだ。心配しなくていい。これからは借り手が減り、部屋が余っていく。貸す側に高齢者を嫌がる余裕はなくなり、シニア向けの賃貸も増える。

 国もすでに動いている。大家が高齢者を断る理由は、部屋で亡くなられたら困る、家賃が滞ったら困る、この2つだ。2025年10月に施行された改正住宅セーフティネット法はそこをつぶしにいった。

『やってはいけない 絶対損する金の使い方』書影『やってはいけない 絶対損する金の使い方』(堀江貴文、徳間書店)

 普通の賃貸契約は、入居者が亡くなっても自動では終わらない。借りる権利が相続人に引き継がれ、大家は部屋に住んでもいない相続人を探して、解約や家財の処分を交渉するはめになる。改正法は、入居者が亡くなったら契約がそこで終わる特別な契約を結びやすくして、その面倒を消しにいった。残された家財の片づけも、国が指定する支援法人が引き受ける。家賃の滞納リスクについては、保証人の代わりになる保証会社を国が認定する仕組みをつくった。大家の不安を減らして、高齢者に貸しやすくしたわけだ。

 部屋は余り、入居を断る理由も消えていく。借りられない時代ではなく、借り手が足りない時代が来る。

 地元に仕事があり、長く住む覚悟があり、家賃より明らかに安く済む。そういう人が買うのは止めない。でも、それを資産だと思ってはいけない。それは投資ではなく消費だ。

 値の落ちない家を買うか。消費と割り切って買うか。買うならそのどちらかだ。どちらでもない大半の人は賃貸でいい。払って終わり。そのなにが悪い。「家賃は捨て金」という思い込みこそ、捨ててしまえ。