東京のビル群写真はイメージです Photo:PIXTA

燃料や原材料などの「仕入価格の上昇」を価格転嫁できず、収益性が悪化して経営が行き詰まる 「物価高(インフレ)倒産」の増加が続いている。2026年(1-8月)における「物価高倒産」 は762件発生し、前年同期の615件から147件(23.9%)の増加となった。このペースで推移すると、年間では2018年の集計以降で初めて1000件を超える可能性が高い。物価高倒産の増加が全体の倒産件数を押し上げる1つの要因となっている。こうしたなか、住宅着工数の減少や改正建築基準法を背景とした建築確認の遅れなどの影響に加え、以前から続いてきた資材高や人件費高騰、さらに足元の中東情勢の悪化もあり、住宅メーカーで負債規模の大きな倒産が発生している。(帝国データバンク東京支社情報統括部情報取材課長 篠塚 悟)

なぜ「物価高倒産」は過去最多ペースなのか

 多くの場合、企業は業績が悪化したとしても即座に倒産するわけではない。なんとか立て直そうと、資産売却や人員の削減などのリストラや金融機関に対する返済条件の緩和(リスケ)、あるいは新規事業への進出などさまざまな策を講じることになる。これらによって再建への道筋が立てられれば良いが、うまくいかなければいずれ破綻することになる。

 要するに、企業は業績が悪化してすぐに倒産するのではなく、そこには一定のタイムラグがあるケースがほとんどである。

 いま起きている物価高倒産の多くも、中東情勢の悪化など、今年に入ってからの物価上昇が直接の原因というよりも、これまで高止まりしてきた物価高を背景として収益が悪化していたところへ、さらに追い打ちをかける格好となり、資金繰りに行き詰まる企業が多く発生していると捉えるべきだろう。