簗和生農林水産大臣不適切発言で追及を受けている簗和生農林水産大臣は辞任しない意向を示している Photo:JIJI

「応援しない自治体の予算を減らした」――簗農相の発言は、本当に前代未聞なのでしょうか。30年前の記録をたどると、驚くほどよく似た議論が自民党内で交わされていました。(ノンフィクションライター 窪田順生)

「やなちゃん」炎上の裏
予算カットは本当に異例?

「私の大事なやなちゃん、私の知恵袋のやなちゃん、いなかったら大変」

 そんな風に高市早苗首相自ら有権者に投票を呼びかけていた簗和生農林水産大臣が初入閣早々、目も当てられないほどの大炎上をして「さっさと辞任しないと政権運営まで厳しくなる」という声も聞こえてきている。

 きっかけは9月30日、文春・新潮という2大週刊誌が同時にすっぱ抜いた予算大幅カット発言だ。

 今年5月、地元の自民党支部の会合で、自分を応援しなかった自治体の道路予算を大幅にカットしてやった、とドヤ顔で語っていたことが報じられたことだった。

 その後、「一議員としての活動に関する事柄についてはコメントは控えたい」を連発して逃げまわるというスタイルでさらに事態を悪化させた。10月5日になってようやく、予算カット発言の撤回と陳謝をしたが、これも鎮火どころか新たな燃料を投下したことになってしまう。

 産経新聞写真報道局が参院本会議中に『簗和生大臣発言案』と書かれた文書にペン入れをする簗和生農水相の写真を公開した。これに対して「書いてもらった言葉を不貞腐れて棒読み」「原案よりも責任を薄めようとする修正ぶり」など、これまた批判が盛り上がっている。

参院本会議中に簗和生農水相がチェックしていた「簗和生大臣発言案」と書かれた文章参院本会議中に簗和生農水相がチェックしていた「簗和生大臣発言案」と書かれた文章 Photo:SANKEI

 一方、国交省側は簗大臣から問題の予算について照会はあったものの働きかけはないと否定したが、対応した担当者が「はっきり覚えていない」「メモはない」などと言っているとして、どうにも歯切れが悪い。

 実際に減額された自治体側からも「疑念はむしろ深まった」という声も出ており、まだまだこの問題は続きそうだ。

 では、実際のところ「自民党議員の選挙を応援しない自治体は報復として予算カット」なんてことはあり得るだろうか。

 それとは逆の「自民党議員の選挙の応援をすると予算がつく」というのは、大っぴらに語られることはないが、政治の世界では「公然の秘密」となっている。

 わかりやすいのは、自民党の有力支持団体・日本医師会だ。