浜岡原発の地震想定に関するデータ不正問題で記者会見し、頭を下げる中部電力の林欣吾社長 Photo:JIJI
中部電力の「浜岡原発データ改ざん問題」。実は、顧客への過大請求を放置するなど、社内全体でモラルが崩壊していたことが浮き彫りとなっています。異論を唱える社員への「逆ギレメール」まで飛び出すその闇の深さと、不正を生み出す「日本型組織の病」の恐ろしさに迫ります。(ノンフィクションライター 窪田順生)
データ不正の「正当化」
壊れきった組織のモラル
《『不適切だと認識しつつも何らかの事情でやむにやまれず実行するという事例に比べ、行為者が「自分たちは正しいことをしている」という考え方により、確信ひいては信念すら持って不適切な行為を実行に移している可能性がある』》(調査報告書(開示版)227ページ)
そんな「正義の不正」ともいうべき、ゆがみまくっているモラルにドン引きしたという人も多いのではないか。
名古屋財界の名門・中部電力が、浜岡原子力発電所(静岡県御前崎市)の再稼働審査に用いる耐震設計の「基準地震動」のデータが2012年ごろから不正に操作して、意図的に地震の揺れを小さく見せていた問題のことだ。
ご存じのように今、原発再稼働が着々と進んでいる。関西電力は保有する7基すべてが再稼働済み、中国電力は島根2号機、四国電力管内は伊方3号機が稼働、九州電力も4基を再稼働、福島第一原発事故を起こした東京電力も26年1月、柏崎刈羽原発6号機の再稼働にごぎつけた。
他の電力会社の背中を追う中部電力社内に「強烈な焦り」があったことは容易に想像できよう。しかも、同社は唯一保有する浜岡原発の安全対策に約4000億円という巨額の費用を投じてきたので今さら「稼働できませんでした」で済む話ではない。そういうプレッシャーにさらされていくうち、社内の一部が常軌を逸した不正を正当化してしまったのだろうか。
そう聞くと「よくないことだけれど、上から無理な数値目標とかスケジュールを押し付けられて叱責されているうち、精神的に追いつめられちゃった部分もあるんじゃないの?」と同情的な見方をするサラリーマン諸氏も多いのではないか。
ただ、中部電力のモラルの壊れ方は「現場も被害者」的な話だけでは到底説明ができない。原発に限らず組織内のありとあらゆるところでモラルのネジがぶっ飛んでしまっているからだ。
例えば今、原発データ改ざんと共に問題になっている「過大徴収」。子会社の中部電力ミライズが約500万件の顧客に対して、電気料金を約12億円も過大に徴収していたのだが、背筋が冷たくなるのはその対応だ。







