人工知能(AI)革命をけん引する米半導体大手エヌビディアは、株式相場を史上最高値に押し上げる立役者となってきた。しかしそのエヌビディア株でさえ、かつてのようなプレミアムを得られなくなっている。
1月以降、エヌビディア株の株価収益率(PER)――投資家が企業の利益1ドルに対して支払う意思のある価格を示す倍率――は大幅に低下した。これは同社株だけの現象ではない。S&P500種株価指数も、指数全体が最高値を更新する中でPERは下落している。
ウォール街はこれを金利上昇のせいだとしている。
10年物米国債の利回りは7日に24年ぶりの高水準を付けた。四半期ベースでは1994年以来最大の上昇率を記録したばかりだ。借り入れコストの上昇は不動産など負債依存度の高い業種に冷や水を浴びせるだけではない。「無リスク金利」の上昇はウォール街がリスク資産をどう評価するかにも影響する。利回りが上昇すると、国債よりリスクの高い資産への投資意欲が薄れる。予想利益がそれを相殺するほど伸びない限り、株価は下落する傾向がある。
「金利上昇はすでに株式市場に大きな影響を与えている」とクロスマーク・グローバル・インベストメンツのボブ・ドール最高投資責任者(CIO)は述べた。「PERは3ポイント下がった。その影響は非常に直接的だが、企業収益があまりに好調なため見えにくくなっている」
S&P500種指数が8月13日に前回の終値での最高値を付けて以来、同指数を構成する25の業種グループのうち18業種が下落した。一方、同指数の均等加重版は5%下落している。銀行や不動産など複数の業種は10%超下落した。
S&P500種指数の直近の上昇は、ソフトウエア・テクノロジー・半導体という最大規模の業種グループに支えられてきた。この3業種はいずれも、AIに対する投資家の熱狂と、日ごと膨らんでいくように見える予想利益によって結び付けられている。
S&P500種指数は現在、構成銘柄の今後12カ月の予想利益の約19.3倍で取引されており、このPERは年初の22.2倍から低下している。PERは米国債利回りが年初来の低水準から上昇し始めて以降、急落してきた(利回りの年初来低水準は米国がイラン攻撃を開始する前日に付けた)
PERの低下にもかかわらず、好調な企業収益と来年の業績見通しが株価を下支えしてきた。









