依然として積極財政を重視か
高市政権のホンネとタテマエ
現在でも、高市首相は拡張的な財政政策を維持する姿勢のように見える。発言内容が変わったのは、金融市場(長期金利と円の為替レート)の変化に応じて、政策を修正する考えを明確にしたことだ。
今年1月、経済財政諮問会議で首相は、「責任ある積極財政で経済成長率を押し上げる」と主張した。「成長率の範囲内に、債務残高の伸び率を確実に抑えていくことが重要」と発言。一応は、財政出動と財政健全化のバランスに配慮した。
しかし依然として首相の基本姿勢は、積極的な財政政策と金融緩和=リフレだとみられる。2月20日の施政方針演説で、首相は、「財政出動で日本経済を大きく成長させる」と述べた。その直後から、債券流通市場では10年国債の利回り(長期金利)が急上昇した。円は売られ、4月末には1ドル=160円程度まで下落した。
急速な金利上昇と円安の高進は、大手投資家の懸念の表れともいえる。それに加えて、4月の経済財政諮問会議で首相は、金利などの市場動向にも十分注視しながら、債務残高対GDP比を安定的に低下させることを財政運営の中核に位置付けた。金利上昇、円安の展開に配慮し始めたのだろう。
しかし6月末、高市政権は再び、財政拡張を重視した情報を発信した。骨太方針の原案を議論する中で、経済財政運営の抜本的な転換を表明。原案では、政府がこれまで以上に、日銀との政策連携を重視する方針を示した。
首相としては、日銀に金融緩和を続けてほしいと考えたのだろう。日銀に関する文言は後に修正されたものの、その原案が明らかになった後、長期金利上昇と円安の傾向は一段と鮮明になった。
一方で7月以降、米国側からリフレ政策をやめ、日銀に利上げを要求する発言が増えた。それでも、7月末の経済財政諮問会議で、首相は「“シーリング”と呼ぶべきものはない」と述べた。
シーリングとは、予算の要求額を、前年度から一定の範囲に抑える基準。高市政権は表向き、大手投資家に配慮を示したが、財政出動を重視する考えは変わっていないようだ。春以降は「成長率の範囲内に債務残高の伸びを抑える」という、規律に関する文言や発言も聞かれなくなった。







