Photo:Tomohiro Ohsumi/gettyimages
高市政権が金融市場の信頼を回復できないと、私たちの暮らしは苦しくなるばかりだ。円安による物価高で賃上げの効果は目減りする。長期金利の上昇は、住宅ローン金利の上昇につながる。株式や債券の価格が不安定化すると、年金や保険の運用にマイナスが生じる。減税や補助金のツケは、現役世代のみならず将来世代が負う。国民生活を守るために必要不可欠な条件とは何か。(多摩大学特別招聘教授 真壁昭夫)
なぜ高市首相の発言は
金融市場に信用されないのか
最近、高市早苗首相や政府高官などから、これまでの経済政策の修正とみられる発言が増えている。具体的には、「必要に応じて歳出を見直す」「リフレ政策は必要な局面ではない」などの発言だ。これまでのリフレ政策を見直す考えがあるのだろう。
リフレ政策とは、財政出動と緩和的な金融政策で景気を刺激し、物価の上昇を促す政策のこと。高市首相は10月5日に所信表明演説を行い、長期金利の上昇や円安傾向に配慮も示した格好だ。米国のベッセント財務長官などから、リフレ政策の修正を促されたことも大きく影響したとみられる。
ただ、高市首相の演説後、むしろ長期金利は上昇した。また、為替市場でも円安傾向に明確な歯止めがかかっていない。そうした金融市場の動きを見る限り、金融市場の参加者の多くは、高市首相の政策修正の発言を本気で信用していないとも解釈できる。
高市政権が金融市場の信認を回復するためには、今回の発言の趣旨を実際の政策に反映させることが必要だ。つまり、高市首相が言ったことを、実際の政策で実行して見せることだ。言行不一致では、金融市場は高市首相を信用することは難しい。
今後も、高市首相が金融市場の信頼を得られないと、長期金利の上昇が続き、円安傾向の歯止めがかかりにくい状況が続くことになりそうだ。そうなると、インフレが進み、住宅ローンの利払い負担が増えることになる。私たちの生活は楽にはならないことが懸念される。
最近、財政赤字の削減が遅れたフランスでは、政権与党と野党の対立が深刻化し、国債が激しい売り圧力にさらされた。今後、わが国が同様の財政危機に追い込まれることも考えられる。そうした事態を防ぐためにも、高市政権に求められることとは何か。







