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「世紀の提携」にも見えた米OpenAIと米ウォルト・ディズニー・カンパニーの提携は、OpenAIのAI動画生成サービスSoraのサービス終了発表という形で破談となった。だが、これでコンテンツ企業とAIの関係が切れるわけではない。連載『沸騰!エンタメビジネス』の本稿では、世紀の提携破談の背景と、エンタメとAIの関係の今後を知財専門弁護士に聞いた。(聞き手 ダイヤモンド編集部/鈴木洋子)
AI動画はコストの割にビジネス採算が取れなかった?
ディズニー・OpenAI提携破談がもたらすものとは
――米ウォルト・ディズニー・カンパニーと米OpenAIが昨年末動画生成AI「Sora」で提携と出資を発表したものの、3月に入ってこの提携・出資の解消と、Soraのサービス終了が発表されました。この動きをどう見ますか。
Sora 2の初期の日本のキャラクターがそのまま出力される状態などを見て、著作権侵害にしてもディープフェイクに悪用されそうなところにしても、世界のどの地域で裁判を起こされても負けそうだというリスクは見えていました。
また、動画生成はAIのリソース全般を食い、莫大なコストを要するものです。1分の動画を生成するのに、電子レンジを1時間回しっぱなしにするくらいの電力がかかるというシミュレーション結果もあります。30fps、つまり1秒間に30フレームの動画生成であれば、1分で1800枚の画像を生成していることに匹敵します。日本の一般的なテレビアニメよりも多い画像を詰め込んでいるわけです。
莫大なコストをつぎ込み、多額の投資をしたのにすぐに撤退するということは、一時話題を集めたものの、ビジネスとして成立するほど利用されなかったか、逆にそもそもリソースを食い過ぎて利用されるほど赤字が膨らむので、維持できないとOpenAIは判断したのだろうと推測されます。
ディズニーにしても、Soraを放置するとOpenAIが無断でコンテンツを学習して出力してしまうので、訴訟でなければ提携で、ある程度コントロールをかけたかった。同時に、Sora2という人気を呼ぶサービスに一枚かんでおこう、ということが提携の動機としてあったはずです。そのためサービス自体を停止するとなれば提携を取りやめるという判断になったのでしょう。
――コンテンツ企業は今後AI企業とどのように組むべきでしょうか。ディズニーなど米国大手の動向はどうなっているのか、また日本企業はどんな道を取るべきでしょうか。
結局破談に終わったディズニーとOpenAIの提携だが、福井弁護士は今回の破談をもって日本のエンタメ企業は決して「安心するべきではない」という。米国におけるテクノロジー企業とエンタメ企業の関わり方には、実はある特徴があったという。ハリウッド勃興期、70年代のソニーのベータマックス訴訟から現代のAIに至る歴史を振り返りつつ、今後日本のエンタメ、コンテンツ企業が探るべき道を次ページから検討していく。







