受賞研究を行っていた当時、リンド博士は某自動車メーカーの支援を受け、そもそもバッタが衝突を予測できるのかを研究していた。そこで思いついたのが、『スターウォーズ』の中から何かが急激に接近してくるシーンを選び、それをバッタに見せるという方法だ。
急接近してくるシーンがあればどんな映画でもよかったのだが、リンド博士は『スターウォーズ』が大好きなのだとか。「Xウイング・スターファイター」や「タイ・ファイター」(シリーズに登場する宇宙戦闘機)が戦うシーンが満載のオリジナル3部作は、衝突シーンがたくさんあり、研究の趣旨にぴったりだったそう。
バッタ100匹に向けて
『スター・ウォーズ』の上映会
ということで、100匹ほどのバッタを観客に、『スターウォーズ』の特別上映会を開催した。研究への協力のお礼として、バッタにはそれぞれコーラとポップコーンが配られた……といったことはもちろんなかった。
上映中は、鍼治療で使われる鍼のようなセンサーを使い、バッタの脳の信号を測った。すると、特定の脳細胞が、『スターウォーズ』のあるシーンに反応することが分かったそうだ。
「分析を進めたところ、それがダース・ベイダーだったことが分かりました。バッタには、ダース・ベイダーのタイ・ファイターがたまらなかったようです。私たちが研究していた脳細胞は、ダース・ベイダーが接近してくるシーンで活発になっていました」(リンド博士、授賞式より)
特定するには、脳細胞の反応を記録した後、そのタイミングを映画のタイムラインに被せて、どのシーンで反応したかを分析した。「コマごとに分析したので、『スターウォーズ』の映画にはめっきり飽きてしまいました」と、リンド博士は当時の苦労を振り返る。
後日、自身がディズニーランドを訪れた際、あるライドに乗るとたまたまバッタたちに見せたシーンが出てきた。
その時の気持ちを、イギリスの地方メディアにこう語っている。
「(固定されていたから)身構えたり、(まぶたがないから)まばたきしたりすることもできなかったバッタたちが、どんな思いで映画を見ていたか、なんとなく分かった気がします」







