「何でも相談して」と言っているのに、部下はなかなか相談に来ない。問題が大きくなってから「なぜ早く言わなかった」と責めても、すれ違いは深まるばかりです。坪田信貴さんは、相談される上司になるには、部下を待つのではなく「上司から先に相談する」ことが大切だといいます。なぜそれだけで、部下との関係が変わるのでしょうか。本稿は、坪田信貴著『育てる。』(ダイヤモンド社)から一部を抜粋して紹介する。
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「何でも相談しろ」と言う人ほど、相談されない
上司はよく、部下に言います。
「困ったことがあったら、何でも相談してくれ」
親も子どもに言います。
「何かあったら、いつでも話してね」
先生も生徒に言います。
「一人で抱え込まずに相談しなさい」
でも、実際には相談されません。そして、問題が大きくなってから発覚すると、
「どうして、もっと早く言わなかったんだ」
と怒ります。しかし、部下や子どもからすれば、
「早く言える空気ではなかった」
のです。いつも正しそうに振る舞っている。間違いを認めない。失敗した人には厳しい。相談に行くと、
「で、君はどうしたいの?」
「それくらい自分で考えて」
「そんなこともわからないの?」
と言われる。そんな人に、誰が相談するでしょうか。
部下から相談してほしいなら、まずリーダーは何をしなければいけないのか
「何でも相談して」
という言葉より、その人が普段どのように振る舞っているかのほうが、はるかに強いメッセージです。完璧に見える人には、失敗を報告しにくい。何でも知っているように見える人には、「わかりません」と言いにくい。神のように優秀なリーダーには、「うまくいっていません」とは、なかなか言えません。
普通の人間が、神様へ悩み相談に行くのは、ハードルが高すぎます(笑)。だから、部下から相談してほしいなら、まずリーダーのほうから相談する。
「実は、ちょっと、悩んでいることがあるんだけど」
「この件、どう思う?」
「僕には、まだ答えが見えていないんだ」
「あなたの知恵を貸してほしい」
と、先に言うのです。
「意見を聞いてやる」と、「相談する」は違う
ここで注意してほしいのは、「部下の意見を聞くこと」と、「部下に相談すること」は、似ているようで違うということです。会議で、
「一応、皆さんの意見も聞いておきましょう」
と言う上司がいます。順番に意見を聞く。何人かが話す。最後に上司が、
「なるほど。参考になりました。でも今回は、最初の案でいきましょう」
と言う。いや、最初から決まってたじゃん(笑)。
結論を変える余地が最初からないのに、「あなたの意見を聞かせてほしい」と言う。これは、相談ではありません。「皆さんの意見も聞きました」というアリバイをつくるための儀式です。部下は、すぐ気づきます。
「ああ、この人は聞いているふりをしているだけだ」
「もう答えは決まっているんだ」
と思えば、次から本気では話さなくなります。
会議で何かを聞かれても、「特にありません」「いいと思います」とだけ答えるようになる。そして上司は、
「うちの部下は、自分の意見を持っていない」
と嘆きます。いや、あなたが言わなくさせたんじゃないですか、という話です。本気で相談するとは、
「自分の中に、まだ答えがない」
「あなたの考えによって、結論が変わる可能性がある」
という状態で話すことです。
「この事業を続けるか、やめるかで迷っている」
「この人を責任者にするべきか、まだ決めきれない」
「いまのチームには、何が足りないと思う?」
「僕の伝え方で、直したほうがいいところはある?」
そうやって、自分が本当に悩んでいる問題を渡す。それが相談です。








