事業やプロジェクトを進めていると、必ず行き詰る場面がある。そんな状況を打破する最強の方法が「相談」である。しかるべきタイミングで相談することで、自分の思い込みに気づくなど、問題解決に向けたネクストアクションへの道筋がひらけてくるはずだ。本稿は、山中哲男『相談する力 一人の限界を超えるビジネススキル』(海士の風)の一部を抜粋・編集したものです。
「見立て」が1つしか
浮かばないときは要注意
物事を前へ進めるためには、当たり前ですが、できるだけ物事が行き詰まらないようにしなければなりません。行き詰まらないために行う相談が「予防相談」です。
「見立て」「仮説」「計画」と段階的に、そしてときに行ったり来たりして物事を進めていくわけですが、未検証の思いつきでいいはずの「見立て」が1つしか浮かばない、というのはかなり危険なサイン。すぐに相談すべきタイミングです。
物事には、必ず複数の選択肢があるものです。選択肢とは言ってみればネクストアクションの可能性。最初の段階では、まだいろいろなことが固まっていない分、発想の自由が許されていて選択肢も多いはず。にもかかわらず、初期の段階で選択肢が1つしか見えていないのは、「この選択肢がいいに違いない」と思い込んでいる場合が多い。思い込みを外して可能性を広げるために、このタイミングで相談を入れるのがいいでしょう。
また、見立ての枯渇は、最初の段階だけではなく、物事を進める過程でも発生します。仮説を検証するなかで、次々とアイデアを出さないといけない状況や、計画の修正のために新たな見立てが必要になることは、往々にして発生します。そんな状況下で見立てが1つしか見えないと、選択肢が狭まり、物事は行き詰まってしまいます。
これを予防するために、仮説以降の段階に入ったら、定期的に相談をネクストアクションに組み込むことをおすすめします。
自分1人で仮説の検証を繰り返し、なんらかの確信が得られたとしても、どこかに思い込みがまぎれ込んできます。しかも、締め切りに近づけば近づくほど、焦りから視野が狭くなり、時間制限もかかるため実際に取り組めるネクストアクションはどうしても減っていきます。
そうなると、やがてネクストアクションが枯渇し、身動きがとれなくなり立ち止まってしまうのです。それを予防するため、行き詰まる前に相談を組み込んでしまう習慣をつける、というわけです。