「相談がうまい人」は頭の中で何を考えているのか?写真はイメージです Photo:PIXTA

偶然出会った人に軽く相談してみたところ、思いがけず良いアドバイスをもらった、という人がいる。しかし、それは単なるラッキーによるものではない。偶然のチャンスをものにするには、常日頃から自分の課題を頭の中に描き、いつ何時でもアウトプットできるように準備しておく必要があるのだ。本稿は、山中哲男『相談する力 一人の限界を超えるビジネススキル』(海士の風)の一部を抜粋・編集したものです。

偶然の相談チャンスを
逃したらもったいない

 物事が行き詰まらないようにするための「予防相談」や、物事が行き詰まってからする「対処相談」では、相談するタイミングが重要です。

 一方で、予防でも対処でもない、偶然に相談できるチャンスがやってくることもあります。それが、「種まき相談」です。可能性の種をまくことで、思いもよらないアドバイスや人の紹介が生まれます。見立て、仮説、計画のすべての段階で共通する相談の極意のようなものと言えます。

 たまたま出席した会食。隣に座った人との会話のなかで、自分が取り組んでいるテーマに相手が詳しいとわかったら?

「実は、最近こんなことをやっているんですよね」

 そんな糸口から、相談に入っていってみてください。

 イベントなどで昔からの知り合いにたまたま会ったときも、「久しぶり。最近何してるの?」という近況報告から話の流れで相談に移ることも、私はよくやっています。このような種まき相談では、あれこれ考えすぎずにタイミングを逃さないことが大切です。つまり「偶然を活かす」ということ。

 そのためには、常に自分が取り組みたいテーマや課題について考え、それを説明できる状態にしておくのが理想です。

 雑談の延長から入ることも有効です。なぜなら、わざわざ時間をとってもらったわけではなく、お互いに構えていない状態なので、よりフランクに話ができ、相手はある意味で「無責任な思いつき」を話してくれるかもしれません。そこから思いもよらない発想に結びつくこともあるでしょう。

 相談内容が、相手にとってなじみのないことだったとしても、問題はありません。多くの人が集う場では、他に詳しい人がいる可能性もあります。

「ごめん、僕はそのあたりに詳しくはないけれど、今日は○○さんが来ているから、彼に聞いてみようよ」

 私は、実際にそのようなケースを経験したことがあります。