仕事の相談をしたところ、「結局どうしてほしいの?」と相手に言われた経験のある人は少なくないだろう。それは、相談の仕方が間違っているのかもしれない。今回は、相手にしてほしいことを的確に伝える心持ちを紹介する。※本稿は船見敏子著『仕事で悩まない人の相談力』(WAVE出版)の一部を抜粋・編集したものです。
相談の仕方に迷ったら
4つの分類で考えてみる
自分の悩みがわかってきたところで、相談した相手にどうしてほしいかを考えていきます。漠然とした状態で相談に行くと、「結局どうしたいの?」と言われかねません。
そこで参考になるのが「ソーシャルサポート」というもの。直訳すると社会的支援という意味になります。その言葉の通り、社会的関係の中でやりとりされる支援のことです。いわば「助け合い」ですね。
「ソーシャルサポート」には、「道具的支援」「情報的支援」「評価的支援」「情緒的支援」という4つの種類があります。
相談の仕方に迷ったら、「私は相手にどうしてほしいのか」、つまり、この4つのうち何を求めているのかを考えてみましょう。
では、4つのサポートについて説明します。
(1)「道具的支援」は、行動によるサポート。仕事を手伝ったり、役立つ物を貸したりして、具体的な行動で支援をすることです。
(2)「情報的支援」は、情報提供のこと。本人が自分で問題解決できるように役に立つ情報や知識を教えるということです。
(3)「評価的支援」は、評価を与えること。相手のしたことがいいのか悪いのか、どのような意味や効果があったのかなど、評価を与えることです。
(4)「情緒的支援」は、感情面でのサポート。励ましたり共感したりすることで、相手の心の支援をすることです。
「納期に間に合わないかも!」
誰しも、そんな焦りを感じた経験があると思います。私も記者時代、原稿を書くのが締め切りギリギリになってしまい焦ったことが何度もあります。
納期に遅れそうになったとき、徹夜してひたすら頑張る人は多いのですが、人間の集中力はそんなに長続きしません。それに、長時間頑張り続けるほど、疲れてしまってクオリティは下がっていきます。
そんなときは、遅れそうなことを正直に話して、「道具的支援」を求めましょう。そもそも、納期に遅れそうなことを上司に隠すのは得策ではありません。
失敗しそうなことを上司に言えず、ひとりでなんとかしようとして大きなトラブルを起こしてしまう人もいます。失敗しそう、遅れそうだと早めに相談することで、大きなトラブルは防げます。
むしろ早めに相談してくれたことで、上司は安心するのです。正直に話してくれたあなたに対する信頼度も向上するでしょう。
相談することで、誰かサポートをつけてくれるかもしれません。あるいは、上司が自ら手伝ってくれるかもしれません。そんなふうに具体的で行動的な支援が得られたら、ホッとしますよね。