デスクで目頭を押さえる男性写真はイメージです Photo:PIXTA

米マイクロソフトでエンジニアとして働く筆者は、自分の能力不足を補うには人一倍の努力が必要だと信じていた。しかし、尊敬するエンジニアとの交流を通じて新たな価値観に触れ、成長への考え方を改めた。努力を続けても伸び悩む人が、見落としているものとは。※本稿は、エンジニアの牛尾 剛『持たざる者の戦略 エンジニアがやっている努力を超えた行動設計』(朝日新聞出版)の一部を抜粋・編集したものです。

頑張っているのに成長できない…
一流エンジニアとの違いとは?

 僕はいいエンジニアになりたい。誰かに「お前はいいエンジニアを目指せ」と言われたわけではない。僕が勝手になりたいだけで、僕が勝手に目指しているだけだ。

 当たり前のことでもあるが、これが頭から抜け落ちると「何のためにこんなつらい思いをしているのだ」「こんな努力したくない」と思ってしまい、結局、投げ出してしまうことになる。

 誰かに強制されたゴールを、つらい努力をしながら目指すのは苦痛でしかない。けれど、やると決めたのが自分なら「こんなつらい思い」も「こんな努力」も、目指すゴールのためのプロセスの1つに過ぎないと納得できる。

 もっといいのは、そうしたプロセスをつらいとか努力だとか認識しないことだ。このことを僕はかずき師匠から教わった。

 かずき師匠は僕の尊敬するエンジニアだ。かずき師匠は呼吸するようにコードを書く人で、一緒にハッカソンなどをやったときは、ため息しかでないような実力だった。

 僕が書いたコードをチェックしてもらうと、素敵なコードになって返ってくる。いつも楽しそうに技術と戯れている。

 どうしてかずき師匠はこんなにできるうえに楽しそうなのか。ウンウン唸りながら遅々として上達しない自分と何が違うのか。そこには何か理由があるのではないかと思い、観察し、質問もしてみたところ、いくつかのことがわかった。