「最近、友人から連絡が来なくなった」「自分はもう、誰からも必要とされていないのかもしれない」。年齢を重ねるにつれて、そんな寂しさや不安を感じる人もいるでしょう。仕事を辞めたり、子どもが独立したりすると、それまで当たり前だった人間関係も少しずつ変わっていきます。しかし、そんなときの何気ない考え方が、かえって人とのつながりを遠ざけてしまうことがあります。では、年をとって「誰からも必要とされなくなる人」は、無意識に何をしているのでしょうか。『人生は気づかぬうちにすぎるから。』の著者クリス・ギレボー氏が、人間関係を大切にするための考え方を語っています。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局)

年を重ねて「誰からも必要とされなくなる人」が無意識にしていること・ワースト1Photo: Adobe Stock

一つの出来事に囚われていないか?

「最近、友人から連絡が来なくなった」
「自分がいなくても、誰も困らないのではないか」
「この先、ずっと一人で生きていくのだろうか」
年齢を重ねるにつれて、そんな不安を感じることはないだろうか。

若い頃は、職場や学校、子育てなどを通じて、自然と人とのつながりが生まれていた。
しかし、仕事を辞めたり、子どもが独立したり、生活環境が変わったりすると、それまで当たり前だった人間関係も少しずつ変化していく。
久しぶりに友人を食事に誘っても、予定が合わない。以前は頻繁に連絡をくれた人から、最近は何の音沙汰もない。

そんな出来事が続くと、「もう自分は必要とされていないのかもしれない」と考えてしまうこともあるだろう。
もちろん、人間関係が変わること自体は珍しくない。

ただ、そこで気をつけたいのは、一つの出来事から、自分の価値やこれからの人生まで決めつけてしまうことだ。

一つの失敗で、人生すべてを決めつけない

そのヒントになるのが、次の言葉である。

認知の歪みを経験しているとき、あなたは非現実的な考えを信じてしまう。こうした考えを抱いていると、状況を悪化させ、自己破壊的な悪循環に陥りやすくなる。
認知の歪みには、次のようにさまざまな種類のものがある。
・フィルタリング:物事の肯定的な側面を無視して、否定的な側面だけに目を向ける。
・過度の一般化:1つの悪い結果を、無限の失敗のパターンとしてとらえてしまう。
・個人化:悪いことが起きるとすべて自分のせいだと考える。
・白黒思考:状況を極端な二者択一でとらえ、中間の立場を取らない。
(中略)
「過度の一般化」の例
私は他人から愛されるに値しない人間だし、これからもずっとそうなのだろう。この結婚生活をうまく続けられなかったのだから、私と一緒にいたいと思う人は誰もいないだろう。私は永遠に独りぼっちで生きる運命なのだ。

――『人生は気づかぬうちにすぎるから。自分第一で生きるための時間術』より引用

人間関係でつらい経験をすると、その出来事ばかりが頭から離れなくなることがある。
友人から誘いを断られた。
家族から冷たい言葉をかけられた。
以前のように、誰かから頼られる機会がなくなった。

そうした経験をきっかけに、「自分は嫌われている」「誰からも必要とされていない」と思い込んでしまうのだ。
しかし、一度誘いを断られたからといって、相手が自分を嫌っているとは限らない。
連絡が減ったのも、単に相手が忙しかったり、生活環境が変わったりしただけかもしれない。

それなのに、悪い方向にばかり考えていると、自分から人を誘うことも、連絡を取ることもためらうようになる。
「どうせ断られるだろう」
「今さら連絡しても迷惑だろう」
そうして人との関わりを避け続ければ、つながりを取り戻す機会まで失ってしまう。

悪いことばかりではない

人から必要とされなくなったと思い込むことで、自分から人間関係を遠ざけてしまう。
そんな悪循環に陥らないためには、どうすればいいのだろうか。

不合理な思考が頭に入り込んできたら、「これは認知の歪みだ」のようにラベルを貼ることで、客観的に対処しやすくなる。
その一環として、正反対の考えを持ってみよう。
たとえば、認知の歪みのせいで過去の失敗のことばかりが浮かんでくるなら、過去の成功体験を思い出そう。負けることばかりでなく、勝つことを考えよう。人生には喜びと悲しみの両方がある。悪いことばかりではないのだ。

――『人生は気づかぬうちにすぎるから。自分第一で生きるための時間術』より引用

人間関係がうまくいかないときほど、過去の嫌な出来事ばかりを思い出してしまいやすい。
しかし、これまでの人生を振り返れば、誰かと楽しい時間を過ごしたことも、感謝されたことも、困っている人の力になれたこともあるはずだ。

今、誰かから連絡が来ないからといって、そうした経験まで消えてしまうわけではない。
大切なのは、目の前の一つの出来事だけで、自分の人生全体を判断しないことだ。

「誰からも必要とされていない」と感じたら、まずはその考えが本当に事実なのかを確かめてみる。
最近会えていない友人に、自分から連絡してみる。
以前お世話になった人に、感謝を伝えてみる。
身近な人との何気ない会話を、大切にしてみる。

相手の反応がいつも期待どおりになるとは限らない。
それでも、一つの失敗を理由に、これから生まれるかもしれないつながりまで諦める必要はない。

年を重ねても人とのつながりを大切にするためには、「自分はもう誰からも必要とされていない」と決めつけないことだ。
過去の嫌な出来事だけでなく、これまで築いてきた関係や、これからできることにも目を向けてみよう。