俳優・木村拓哉(左)と経営者・稲盛和夫(右)俳優・木村拓哉(左)と経営者・稲盛和夫(右)に意外な共通点があった Photo:JIJI

40代、50代になると、仕事で求められる役割は変わります。それでも第一線で活躍し続けるには、何が必要なのでしょうか。53歳でも主演を張り続ける木村拓哉の仕事ぶりを、京セラ創業者・稲盛和夫の経営哲学と重ねて考えます。(ライター 徳重龍徳)

53歳のキムタクが
若い頃と変えた「あること」

 テレビ局はコンテンツ不足なのか、最近は過去の名作ドラマの名場面を振り返る番組をよく目にする。先日見た番組で流れていたのが、1994年の『若者のすべて』や1996年の『ロングバケーション』など、木村拓哉が出演したドラマの映像だった。

 当時の“キムタク”はカッコよさの象徴だった。顔立ちだけではなく、髪形やファッション、ちょっとした仕草に至るまで、ほかの俳優とは違う独特の雰囲気があった。そんな時代の映像を見ながら改めて思ったのが、現在の木村についてだ。

 あれから30年。木村は現在53歳になった。20代のころと同じような役を演じることは少なくなったが、いまも第一線で活躍し、トップスターとして君臨し続けている。ただ、若いころとまったく同じことを続けているわけではない。変わったのは、スターとしての見せ方だ。

 象徴的なのが近年のCM出演だろう。

 2020年にはマクドナルドのCMに出演。ハンバーガーを中指と薬指の間に挟む独特な持ち方は“キムタク持ち”と呼ばれ、話題になった。自由な発想と圧倒的な存在感で注目を集め、そして2026年3月には吉野家のブランドアンバサダーに就任。9月から放送されたCMでは、自分好みの牛丼の食べ方「推し牛」として、牛丼大盛にねぎだく、卵を合わせた「大盛ねぎだくギョク」を紹介している。

 かつての木村は、手の届かない憧れの存在だった。木村が着ている服を着たい。木村の髪形を真似したい。そんな形でスター性が消費されていた。

 ところが現在は少し違う。マクドナルドでハンバーガーを食べ、吉野家で牛丼を食べる。当時木村に憧れていた若者たちも年齢を重ね、いまや40代、50代のビジネスパーソンになった。そんな彼らの日常の中に、木村が入ってきた。

 遠くから見上げるスターから、日常の中にもいるスターへ。かっこよさを保ったまま、親近感という新しい価値まで手に入れたように見える。

 俳優としての活動にも変化がある。