仕事のできる人ほど「自分でやった方が早い」「自分でやった方がうまくいく」と考えがちだろう。実際、その方が短期的には成果が出る場合もある。だが、一人で出せる成果には限界がある。
後輩や部下が力を発揮できるようになれば、自分一人では生み出せなかった大きな成果を、組織として生み出すことができる。
年齢を重ねれば、プレイヤーを卒業してマネジメントに専念すべきだという話ではない。木村は53歳の現在も主役であり、自ら結果を出し続けている。そのうえで周囲の力まで引き出す。自分が輝くことと、周囲を輝かせることを両立している。
京セラ創業者の稲盛和夫も、同じ壁にぶつかった。京セラが成長するにつれ、自分一人ですべてを見ることが難しくなったのだ。そこで稲盛は、組織を小集団に分け、リーダーに経営を任せる「アメーバ経営」を生み出した。
ただし、稲盛は経営から身を引いたわけではない。現場のリーダーたちが主役として力を発揮できる環境をつくりながら、自らは経営者として全体の舵を取り続けた。任せることと、自分が中心に立ち続けることは、両立できる。
優れた人間がすべてを自分で担うのではなく、周囲の人間が主役として力を発揮できる環境をつくる。その発想が、組織をさらに大きくしていく。
木村拓哉もまた、主役の座を降りたわけではない。ただ、その主役の在り方は年齢とともに変化している。若いころのように自分一人の輝きだけで作品を引っ張るのではなく、自分が中心に立ちながら、周囲の魅力まで引き出す。その一方で、CMではスター性を失わずに、私たちの日常へ少しずつ近づいてきた。
年齢を重ねるとは、けして主役を降りることではない。主役の役割を変えることなのだ。







