ユニ・チャームは現在の海外売上高比率が44%と世界展開を着実に進めており、とくにアジアで成果を上げている数少ない企業だ。目標の世界シェア10%達成は可能なのか。今後の海外戦略について、高原豪久社長に聞いた。(聞き手/「週刊ダイヤモンド」編集部 野口達也)
今年度スタートした3ヵ年の第8次中期計画、そして10ヵ年の長期計画は、計画自体はきわめてシンプルであり、教科書的なものだ。ただし実行するのは容易ではない。新興国において急速に拡大する生理用品、ベビー用紙オムツの需要を着実に獲得していくだけでなく、先進国では商品の革新を続けることによってシェアを拡大したい。着実に計画をこなし、10年後の世界シェア10%獲得、売上高1.6兆円を達成したい。
今でこそ海外での売上高比率が50%に近づいてきたものの、海外事業は連戦連勝だったわけではない。香港は一度撤退した経験があるなど、失敗もある。幸いにも業績を伸ばせたのは、徹底して経営資源を選択・集中したからだろう。たとえばトイレタリー事業は失敗していたわけではないが、事業を売却している。(ヒット商品のような)ラッキーパンチも必要だが、一方で事業の絞り込みのようなガード固めも重要だ。
また海外進出に当たっては現地パートナーとのジョイントベンチャー形式が多い。ただし株式の過半数を弊社が保有するのが原則となる。そうでないとスピーディな経営は難しい。
高齢者向け商品については、今後の成長に期待している。特に中国における高齢化はこれからが本番だ。そのペースは日本よりも速い。現在は女性とベビー向け商品が主力だが、いずれは「ヘルスケアのユニ・チャーム」と呼ばれる日が来ることになるだろう。
外部の方から、女性や外国人の幹部が少ないのではないかという指摘を受けることもある。しかしわれわれは顧客第一主義という筋を通しながら、さまざまな価値観を認めており、問題はない。女性のマーケッターは多数いて、女性の声はしっかり把握している。弊社のコミュニケーションは暑苦しいくらい濃密であり、そのため女性幹部が生まれにくいのかもしれない。(談)