化学メーカーである日本触媒の姫路製造所で起こった爆発事故。ここで紙おむつや生理用品用の特殊な高吸水性樹脂を製造しているため、紙おむつメーカーの製品供給に重い足かせとなるのではないかと懸念された。しかし、事故から約1週間たち、今後の製品供給見通しが明らかになってきた。
結論から言えば、「少なくとも、年内に製品供給がひっ迫することはなさそう」(業界関係者)。ただし、これは消費者が過剰な買いだめを行わない、というのが前提だ。生活必需品だけに、買いだめしたい心理も無理からぬが、やりすぎれば自分の首を絞めかねないだけに、消費者には節度を持った行動が求められる。
日本触媒が製造していたのは、紙おむつなどに使われている「SAP」と呼ばれる樹脂。小さいながら大量の水分を吸収するため、紙おむつを薄くすることができ、漏れや逆戻りも少ない。特殊な樹脂であるため製造できるメーカーが少なく、同製造所の生産能力は世界シェアの約20%を占めると言われる。事故からの復旧には最低でも数ヵ月かかるとみられることから、紙おむつや生理用品の生産への影響が大きいとみられていた。
ただ、紙おむつメーカー各社は早急に対応に動いており、当面の影響は軽微となりそうだ。
最も影響が懸念されたのは、日本触媒からSAPを調達し、「パンパース」ブランドの紙おむつを販売するP&Gだ。同社によると、「製品・原材料在庫はあるので短期的には商品供給が滞ることはない」という。「すでに、SAPの代替調達に向けて、複数のグローバルサプライヤーと話し合いを始めている。当社のスペックでどのくらい製造できるかを精査したい」としており、長期的な調達にも問題はなさそう。ただし、代替調達がいつから可能なのかはまだ確認中であり、一時的に供給がひっ迫する可能性は残っている。