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「100年に一度の変動でも起きない限り大丈夫です」――課長の強気な言葉を信じ、約4億円を一括投資した資産家。しかし、わずか3カ月で資産は1割以上も目減りし、顧客は激怒した。なぜ、分割投資を望んでいた顧客に、一括購入を勧めたのか。大手証券で25年間働いた元証券マンが、販売目標に突き動かされた営業現場の実態を明かす。※本稿は、元証券マンの日野山 大『証券マンひりひり日記』(三五館シンシャ)の一部を抜粋・編集したものです。
※本稿は著者の実体験に基づいていますが、登場人物のプライバシー保護のため、人名は仮名とし、人物像の改変や一部脚色を加えています。
証券会社の営業現場では
顧客への謝罪が飛び交う
支店へ足を踏み入れるとすさまじい喧騒が聞こえる。電話機を肩で挟みながら顧客へ注文を勧める営業マン。日経端末を睨みつける課長。一見すると活気に満ちている。だが、耳を澄ませば内容は違う。電話の多くは損失を出した顧客への謝罪だったりした。
「申し訳ありません」「もう少し様子を見ていただければ」「必ず取り返しますから」……。
そんな言葉が一日中飛び交う。電話が鳴るたび、居留守を使う営業マンもいた。電話を取れば、顧客から怒鳴られるとわかっているからだ。
支店内には不思議な階級社会が存在した。高額顧客を抱えるトップ営業は高級スーツを着こなし、自信に満ちた表情で歩く。反対に、成績不振者のスーツはくたびれ、肩も落ちている。同じ社員でありながら別世界の住人のようだった。
私は名古屋支店への配属初日、社内の光景を見て衝撃を受けた。学生時代に思い描いていた華やかな証券マン像とはまるで違う。ここには成功者もいる代わり、その何倍もの敗者がいる。彼らは、数字に追われ、顧客に追われ、上司に追われていた。







