『その仕事、スケールするの?』は、シアトルの巨大IT企業で働く著者・福原たまねぎ氏が、世界一流の同僚から学んだ成果の出る仕事のやり方を明かす1冊です。今回は書籍の発売に先駆け、「世界一流はなぜ『休まず働く人』を評価しないのか」に関連した本書の一部を先行公開します。

ビッグテックPhoto: Adobe Stock

成果の方程式を知る

真面目な人ほど、仕事の成果を次のような計算式で捉えてしまいがちだ。

成果=努力=時間×根気

「成果を出したいなら、もっと時間を差し出すしかない」
「もっと必死に頑張るしかない」

そう信じて、自分の体力を削りながら全力でママチャリのペダルを漕ぎ続けてしまう。

しかし、人間が1日に集中して価値を生み出せる時間は、せいぜい3~4時間が限界だ。1日24時間という物理的な枠がある以上、「時間を差し出す努力」はいずれ必ず限界を迎える。

世界一流の同僚が口にする「スケール思考」とは?

米国の巨大IT企業の第一線で働く同僚たちを観察していて衝撃を受けたのは、彼らの成果の出し方が根本から異なっていたことだった。

彼らは夕方15時や16時にはサッと仕事を終えて帰宅しながら、チームや世界規模で桁外れのインパクトを出し続けている。

彼らが常に自分自身やチームに問いかけているのが、この言葉だ。

「Is this scalable?(その仕事、スケールするの?)」

「スケールする仕事」とは、同じ努力で何十倍、何百倍もの成果を生み出す働き方のこと。1回の努力をその場限りで消費してしまうのではなく、複利のように自動で価値を広げ続ける「車(仕組み)」を作り、そこに乗って遠くまで行く。これが「スケール思考」の本質なのだ。

そして、彼らが考える「成果の方程式」はこうなっています。

成果=努力×再現性(真似できるか)×波及性(広がるか)×自走性(自分なしで回るか)

努力それ自体よりも、その努力を何倍にも増幅させる「かけ算の3要素」をいかに組み込むか。これこそが、少ない力で最大の成果を出すための絶対条件なのだ。

自走性(自分なしで回るか)

スケールする仕事の特徴の1つが自走性だ。

大事なポイントはシンプルで、自分がいなくても回るのか?だ。これに尽きる。

・マニュアル化する。
・人に任せる仕組みにする。
・自動化する。

どんな形にするにせよ、とにかく自分が動かなくても成果が出る状態にできているかどうか、がポイントだ。

たとえば、家庭教師の仕事を考えてみてほしい。

・毎回授業の前に下準備をする。
・1時間教える。
・1時間分の対価をもらう。

これはとても真っ当な仕事の仕方だ。

でも、1時間働いたら1時間分しか成果が出ない。

自分が休んだ日には授業ができず、受講生の勉強まで止まってしまうのだ。

では、自走性のある仕事になるとどうなるのだろう。

・講義の内容をドキュメントにする。
・同じ内容を動画にする。

一度つくれば、今日も、来月も、3年後も使われる。自分が寝ているあいだにも価値が生まれ、受講生も自分のペースでいつでも学べる。

ここで起きているのは、時間の切り売りからの脱却だ。