初めて会った人なのに、「なんとなく信頼できそう」「この人とは気が合いそう」と感じたことはないだろうか。まだほとんど話していないのに、なぜか好印象を抱く。実は、こうした第一印象には、人間が進化の過程で身につけてきた脳の仕組みが関係しているという。そんな仕組みを『すべて本能のせい』から紹介する。(ダイヤモンド社書籍編集局)

「初対面なのに信頼できそう」と感じるのはなぜ? 人間の脳が無意識にしている“相手を判断する驚きの仕組み”Photo: Adobe Stock

なぜ「顔を見ただけ」で相手を判断できるのか?

初対面の相手がどんな性格なのか、信頼できる人なのかは、本来、実際に付き合ってみなければわからない。
それなのに、私たちは顔を見ただけで、相手にさまざまな印象を抱いてしまう。

実は、人間の脳には、顔や身体の特徴から相手の状態を素早く読み取ろうとする仕組みがあるという。

その背景には、私たちの祖先が生き延び、子孫を残してきた長い進化の歴史が関係している。

脳が無意識に読み取っている「意外な情報」

『すべて本能のせい』では脳の仕組みについて下記のように解説している。

背景には、相手の健康状態や生殖可能性を無意識にチェックする進化的な仕組みがあります。
人間は、相手の見た目や身体の特徴から、その手がかりを驚くほど素早く読み取っているのです。
たとえば、顔の対称性は、身体が健康に育ったという発達の安定性や、健康状態を反映する指標の一つになるとされています。
肌の質感や色は、免疫の機能や血流の状態と深く関連しています。
実は、化粧をすることもこれと深く関係した生物学的な背景があると考えられています。
ファンデーションで肌の色ムラを整えたり、チークで血色を演出したり、リップで唇の色を鮮やかに見せたりする行為は、健康や若々しさを連想させる特徴を強調することとも言えます。
つまり化粧とは、単なる装飾ではなく、「私は健康状態が良い」という印象を強める行為と見ることもできるのです。
実際に、化粧をした顔は魅力度や健康度に加え、有能さや信頼性についても高く評価される傾向が報告されています。
これらの視覚から得られる情報は、脳の「側頭葉」にある顔認識の領域や、不安などを処理する「扁桃体」によって、私たちが認識するよりもはるかに速いスピードで処理されています。
そして、脳の「側坐核」を中心とした報酬系が反応します。
心地よさに関わる脳内物質「ドーパミン」が分泌されることで、「相手に近づきたい」という行動が促されるのです。

「信頼できそう」という印象の正体

ここで興味深いのは、私たちが顔から読み取る情報が、相手の信頼性や有能さの評価にも影響する場合があるという点だ。

たとえば、化粧によって肌の色ムラを整えたり、血色をよく見せたりすると、健康的な印象が強まることがある。
そして、そうした見た目の変化が、「信頼できそう」「仕事ができそう」という評価にもつながる場合があるという。

もちろん、健康的に見える人が必ずしも健康とは限らないし、信頼できそうに見える人が、実際に信頼できる人とは限らない。

それでも、私たちの脳は、顔から得られる情報を驚くほど素早く処理し、相手に対する印象を形づくっている。

普段何気なく感じている「この人、なんとなく信頼できそう」という感覚にも、人間が長い進化の過程で身につけてきた、不思議な仕組みが隠されているのだ。