ウォーシュ議長が望む「沈黙のFRB」 高官の発言やまずPhoto:Bloomberg/gettyimages

 米連邦準備制度理事会(FRB)高官らはこの秋、同時に二つの論争を抱えている。一つ目は金利をどこまで引き上げる必要があるかという論争で、これは政策会合で決着する。二つ目は、金利の行方について当局が国民にどの程度説明すべきかという論争で、こちらは公の場で展開されている。

 ケビン・ウォーシュ議長は発言を控えることを徹底してきた。しかし、同僚の大半はその方針に追随していない。

 ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)の集計によると、在任期間が1年以上のFRB高官16人は、先月の会合から今週の会合を前にした発言自粛期間までの間に、講演やインタビューなどの公的な発言を少なくとも59回行った。これは1年前の同時期に行われた約54回とほぼ同水準だ。ウォーシュ氏は今年5月にFRB議長に就任した。

「ウォーシュ氏が他の高官に発言を減らすよう説得できたようには見えない」と、ネーションワイドのチーフエコノミスト、キャシー・ボストジャンシック氏は述べた。「ウォーシュ氏が話さなければ、他の人たちがその空白を埋める」

 この二つ目の論争はFRB以外にも大きな影響が及ぶ。家計の住宅ローン金利や企業の借入金利は、FRBが現在どこに金利を設定しているかよりも、投資家がFRBの今後の方向性をどう見ているかに左右される部分が大きい。高官らが経済の変化にどう対応するかを説明しなければ、投資家は推測に頼らざるを得なくなる。

 投資家の推測は最近、大きく揺れ動いている。1カ月前、投資家は今週の会合での利上げの確率を約70%とみていた。それが発言自粛期間の前、高官が公に発言できる最後の日となった10月16日には15%まで低下した。