アンソロピック「調整後」利益、ウォール街の数字遊び露呈Photo:VCG/gettyimages

 人工知能(AI)開発を手掛ける米アンソロピックは今年1-6月期(上半期)に807億ドル(約12兆7500億円)の純損失を計上したが、それには裏側がある。帳簿のもう一方の側では、 アマゾン・ドット・コム とグーグルの親会社 アルファベット が同じ資金調達取引の一部から多額の評価益を計上していた。

 アンソロピックが早ければ11月にも新規株式公開(IPO)に踏み切ろうとする中で、これは厄介な問題を生み出す。ウォール街の多くのアナリストがもてはやす代替的な利益指標に、こうした損益を含めるべきかどうかという問題だ。

 アマゾンやアルファベットは、こうした利益を計上している。だがアンソロピックでは、それに対応する損失は計上されないか、少なくとも調整後利益には反映されない。

 アンソロピックの赤字は、主に貸借対照表上の負債の価値を引き上げたことから生じた。これは資産の価値を引き下げる場合と同様に、損益計算書上で損失を計上する方法だ。この負債には、初期の資金調達ラウンドで発行した転換社債型約束手形が含まれていた。転換社債は本質的に、現金で返済される代わりに株式に転換されるローンだ。

 アンソロピックの市場価値が跳ね上がるのに伴い、この転換社債の価値も上昇した。その結果、アンソロピックに多額の非現金損失が生じる一方で、アマゾンやアルファベットを含む出資者には多額の評価益がもたらされた。

 こうした未実現損益は、米国の「一般に公正妥当と認められた会計原則(GAAP)」の下では純利益の一部となる。アナリストらはアマゾンとアルファベットの含み益を市場コンセンサスのベースとなる「ストリート・アーニングス(ウォール街独自の利益指標)」に含めていた。その評価は変わりやすい上に、両社の中核的な営業損益とは無関係であるにもかかわらずだ。