いよいよクライマックスに向かい始めたドラマ『VIVANT』シーズン2。敵と味方が目まぐるしく入れ替わる予測不能な展開が話題だが、登場人物が味方すら欺き、秘密を抱えて動くのは、彼らが「情報」を扱う諜報のプロだからに他ならない。では、現実の世界での捜査官たちは、どのような論理で動いているのか。2人の元警視庁公安部捜査官にリアルな諜報活動の裏側を聞いてみた。(清談社/石水典子)
「100%の信頼はない」身内ですら疑う情報管理の壁
『VIVANT』では、敵と味方が目まぐるしく入れ替わり、同じ組織の人間同士でも疑心暗鬼に陥るような展開が視聴者を惹きつけている。ドラマの中だけの過剰な演出に思えるかもしれないが、現実の諜報活動においても「味方」を手放しで信用することはないのだという。
Photo:JIJI
元警察の公安部で作家の本郷矢吹氏も、諜報の世界における人間関係について「100パーセントの信頼はない」と断言する。
「情報に携わる人間は、常に仲間の中にも二重スパイや情報漏洩者がいるかもしれないという前提で動いています。それは警察であれ、海外の情報機関であれすべて同じです」
裏切り者がいる前提で動く以上、組織内の情報管理は徹底されている。ドラマのようにチームを組んで情報を共有し合うことは、現実にはほぼないという。「公安では基本的に組織横断的なチームは組みませんし、お互いの捜査内容は知りません。他の部署や省庁に首を突っ込めば『勝手なことをするな』と怒られます。また、物理的な情報の遮断も徹底されており、警察の端末は専用回線で、基本的に外部のインターネットには接続されていません。外部にアクセスできるパソコンは厳密に決められています」
味方に情報を伏せ、横のつながりを持たないのは、冷酷だからではない。誰がどこで情報を漏らすか分からない世界だからだ。そうすることで自身の身を守り、情報漏洩のリスクを最小限に抑えるための「鉄則」なのだ。この極端にも思えるリスクヘッジは、現代の企業におけるコンプライアンス管理や、新規プロジェクトにおける機密保持のあり方にも通じる、究極の防衛策と言えるだろう。







