戦災地・ガザの様子CIAやMI6が首をかしげる「イスラエルの失態」とは?

元公安部外事課に所属し、ドラマ『VIVANT』(TBS)の監修を務めた勝丸円覚さんに時事問題の真相を教えてもらう不定期連載。CIAやMI6といった世界の諜報員との繋がりから得た情報を惜しみなく披露してもらいます。今回のテーマは「イスラエル・ガザ戦争」。日本人に危害が及ぶ可能性はあるのでしょうか。さらに、世界の一流インテリジェンスの間でも見解が別れる、ある一つの「謎」についても語ってくれました。(取材・文/ダイヤモンド・ライフ編集部 松本幸太朗)

イスラエルとパレスチナ
日本国内の勢力を分析する

 イスラエル・ガザ戦争が、遠い国の自分たちには関係のない事象だと捉えるのは危険です。

 まずは、日本国内におけるイスラエルとパレスチナの勢力を分析してみましょう。在日のイスラエル人は日本全国に700人ぐらい。一方で、在日パレスチナ人は70人から80人ぐらいと言われています。したがって、彼らが日本で衝突することによって日本人に大きな被害が出るというのは考えにくいです。そして、彼らの滞在目的はビジネスや大使館の関係が多いです。

『VIVANT』監修・元公安の豪華解説!「イスラエルの失態とハマスの誤算」『VIVANT』の阿部寛と同じ元警視庁公安部外事課に所属していた勝丸円覚氏 撮影:ダイヤモンド・ライフ編集部

 しかし、ここで話をややこしくするのが、ユダヤ人とは誰かということです。ユダヤ人=イスラエル人ということでは必ずしもありません。ユダヤ人とはユダヤ教を信じる人であって、彼らは世界中に散らばっています。ちなみに今の駐日アメリカ大使のエマニュエル氏はアメリカ国籍ですが、ユダヤ人です。少し前までいた駐日ルーマニア大使もユダヤ人でした。

 したがって、「イスラエル側でものを考える人」がどのくらいいるのかというのは統計では現れません。宗教とは内心の自由に関わる問題であって、簡単に立ち入ることができないからです。よく言われる特徴として、社会的地位が高い人が多いと言われています。実際に、彼らは世界的なネットワークを駆使して連帯しようとします。実際に、駐日大使のエマニュエル氏は渋谷駅前で行われた抗議集会に参加して、マイクを持って演説までしていました(10月11日付NHK)。

  当局の見方をすると、人数を把握しておくことは事前に対策を打つことに役立ちます。例えば、 一般的にある国籍の外国人が1000人を超えてくると、デモや集会があったときに、人が集まりやすくなると考えます。こうした事前に把握できる数字は、要人警護などにも活用されます。