[1]コミュニケーションを取る前に、「自分の状態」を知る

 会議室に入る前、メールを返す前、誰かに声をかける前に、一呼吸だけ置きます。

 今、自分は何に苛立っているのか。その苛立ちは、目の前の人のせいなのか。

 そういった自分がいまどのような感情なのかを見るのです。

 感情そのものを消す必要はありません。自分が今どんな状態にあるかを知っているというだけで、その感情を相手のせいにしにくくなるからです。

[2]整えられないときは、短く言葉にする

 余裕がないのに平静を装う必要はありません。隠しても、たいていは伝わってしまうからです。そういうときは、ただ言葉を短くすることを意識してください。

「今日は少し立て込んでいるので、結論から聞かせてください」
「今、少し考える余裕がありません。午後に改めてもいいですか」

 このような一言があるだけで、相手は「自分が何か悪いことをしたのだろうか」と余計な推測をせずに済みます。自分の状態を説明することと、その状態の責任を相手に負わせることとは、まったく別のことなのです。

[3]漏れた不機嫌は、自分で回収する

 どれだけ気をつけていても、言い方がきつくなってしまうことはあります。
 大切なのは、それをなかったことにしないことです。自分の不機嫌な言動に自ら触れ、素直に謝りましょう。

「さっきは言い方がきつくなってしまいました。内容についての考えは変わりませんが、伝え方は僕のミスでした」

 これは自分の立場を弱める謝罪ではなく、自分の状態の管理を自分で引き受けるという行為です。むしろ、この一言が信頼につながります。

 不機嫌にならないことが、謙虚さなのではありません。
 不機嫌を権力として使わないことが謙虚な態度なのです。

 機嫌の良さをつくるのは、感情コントロールの技術ではなく、自分の「感情の責任」を自分で引き受けるという習慣なのです。

ピョートル・フェリクス・グジバチ

連続起業家、投資家、経営コンサルタント、プロノイア・グループ株式会社 代表取締役、株式会社GA technologies 社外取締役

ポーランド生まれ。2000年に来日。モルガン・スタンレーを経て、Googleでアジア太平洋地域の人材開発と組織改革に携わる。2015年にプロノイア・グループを設立し、組織開発と経営者コーチングを行う。講演者としても、国内外の経営層やカンファレンスで基調講演を行っている。2016年に共同創業したモティファイでは人材育成プラットフォーム「Motify」を400社超に導入し、2019年に同事業を譲渡。組織の内側、経営者、取締役会という3つの立場から、日本の組織を見てきた。著書は『世界最高のチーム』『世界最高のコーチ』(ともに朝日新聞出版)、『心理的安全性 最強の教科書』(東洋経済新報社)、『NEW ELITE』(大和書房)など多数。本書が20冊目となる。エンジェル投資家としても活動するほか、東京・永田町のポーランド料理レストラン「Ani Mru Mru」のオーナーを務める。