日本の総人口に占める高齢者の割合

高齢者のデジタルデバイド再考、戸惑わない環境の整備を、スウェーデンのシンプルさに学べ

 毎年9月、第3月曜日の「敬老の日」にちなんで高齢者の人口や割合が発表される。

 今年は65歳以上人口が3624万人で、総人口に占める割合は29.6%だった。前年比で2万人増え、過去最高を記録。割合も過去最高で、世界で最も高いという(39カ国中)。

 厚生労働省の「簡易生命表の概況(2025年)」によれば、日本の平均寿命は女性が87.33歳、男性が81.35歳。世界と比べても女性が1位、男性が7位の長寿国でもある。

 一方、わが国は人口減少社会へと突き進み、生産年齢人口の減少や社会保障費の増大、若年世代の負担増など諸問題を抱えている。その対策の一つとして期待されているのがDX(デジタルトランスフォーメーション)だ。

 DXは日常生活に浸透してきたものの、「タッチパネルでまごつく高齢者が冷遇された」「使い方に戸惑う高齢者が激高した」といった話題に事欠かない。

 高齢社会白書によれば、日本は金融や行政のデジタルサービスにおける高齢者の利用率が他国と比べかなり低いという。

 金融デジタルサービスの利用率は、スウェーデンの94.2%や米国の73.9%、ドイツの31.7%に対して日本は10.0%にとどまる。行政のデジタルサービスでは、スウェーデンは71.4%、米国は33.7%、ドイツは26.1%、日本は9.2%だ。他国と大差がついた要因は「長寿」なのだろうか。

 24年のインターネット利用率は65~69歳で87.9%、70~74歳で75.3%、75~79歳で62.7%だが、80歳以上では33.1%と極端に落ち込む。80歳以上の人口が約1288万人(10.5%)であることを踏まえれば、利用率が低いのもうなずける。

 しかし、スウェーデンも日本と同じ長寿国である。何が原因なのだろうか。キャッシュレス決済に焦点を当てると、スウェーデンのコード決済はSwishの実質1社だ。電子マネーは専用の仕組みではなく、タッチ決済規格が導入された手持ちのデビットカードやクレジットカードがそのまま使える。

 他方、日本では、コード決済だけで40種以上、電子マネーは交通系や流通系に加えて地域通貨があり、乱立状態といえるだろう。

 高齢者に操作を教えるデジタルデバイド対策ばかりではなく、誰もが戸惑わないデジタル環境の整備にこそ力を入れるべきではないだろうか。

(行政システム顧問 蓼科情報主任研究員 榎並利博)