ドライブするシニア男性写真はイメージです Photo:PIXTA

高齢ドライバーによる事故が報じられるたびに、「免許を返納すべきだ」という声が高まる。しかし、人口の3割が高齢者という時代に、それは本当に唯一の解決策なのか。高齢者医療を専門とする和田秀樹医師は、必要なのは“排除”ではなく“技術と発想の転換”だと語る。日本は、「高齢化先進国」から「解決先進国」へと変わる岐路にある。本稿は、精神科医の和田秀樹『「高齢者ぎらい」という病』(扶桑社)の一部を抜粋・編集したものです。

「75歳を過ぎても安全に乗れる車」を
自動車メーカーは開発せよ

 若い世代の人たちはとにかくコスパを重視するので、カーシェアやレンタカーを上手に使い分けています。

 しかし、今の高齢者世代にとって、「車を持つ」というのは1つの誇りであり、少しでもいい車に乗り換えることは、自分の人生をグレードアップさせることを意味していて、大きな満足感をもたらすものでした。

 そのような車に対する価値観は、年を重ねたからといって大きく変わるわけではありません。

 つまり、高齢者というのは、自動車メーカーにとって、最も大切にすべき顧客層のはずです。

 だからこそ本来やるべきなのは、「高齢者は免許を返納しろ」という世の中の空気を、自分たちの技術力を駆使して大きく変えることなのです。

 自動ブレーキ、視覚サポート、AIによる危険予測、そして個々の運転データをもとにした個別診断など、技術はすでに整いつつありますから、衝突感知機能をさらに進化させ、ブレーキとアクセルの踏み間違いを徹底的に防ぐ機構を標準装備にするなどすれば、「絶対に事故を起こさない車」をつくることはもはや不可能ではないはずです。