民主党の大統領候補を選ぶ予備選は、残すところプエルトリコに加え、モンタナ、サウスダコタの2州になった。5月25日時点の獲得代議員数は、オバマ候補1976、クリントン候補1779。5月6日時点では150人の差だったが、いまでは197人に開いてしまった。指名獲得に必要な代議員数は2025人。残っている代議員数は287人しかない。オバマ候補はあと49人集めればよいが、クリントン候補は246人も集めなければならない。
クリントン候補はまだ意思決定をしていない200人ほどの特別代議員に最後の望みを繋いでいるが、この層もオバマ候補に傾きつつある。2月中旬にはクリントン候補が100人ほどリードしていたが、今では36人ほど逆転されており、その差はさらに開きつつある。中にはクリントン候補からオバマ候補支持に鞍替えする特別代議員もいる。
R・ケネディ暗殺を引き合いに出した
クリントンの致命的失言
どう見てもクリントン候補に勝ち目はない。それでもクリントンは降りない。民主党幹部の間では、「こんな状態を続けていては民主党が分断されてしまう」と、同候補を非難する声が高まっている。アメリカ国民も彼女の真意を測りかねている。彼女が降りない本当の理由は何なのか? そんなときに彼女が問題発言をした。
6月3日に最後の予備選が行われるサウスダコタ州の地元新聞のインタビューに答えて、「周りの人々は、私に降りろと言うが、私は党大会まで降りる気はない。予備選が6月にまでずれ込むのは歴史的に見ても異常ではない。夫が1992年の予備選で勝負に決着をつけたのは6月だったし、1968年に当時の民主党大統領候補の指名争いをしていたロバート・ケネディ候補が暗殺されたのも6月だった」と発言した。
メディアはこの発言に直ちに反応した。「クリントン候補が降りないのは、オバマの暗殺を待っているからか」と解釈した。彼女は「私は予備選が過去に6月にずれ込むことがあった歴史的事実を述べただけ。その以上の意図はない」と弁明したが、メディアは問題発言として大々的に取り上げた。オバマ陣営は「彼女の発言は不穏当ではあるが、選挙戦には関係ない」と一蹴した。