人間は、脳あってこその存在。人の行動、思考、感情、性格にみられる違いの数々は、すべて脳が決めているのです。「心の個性」それはすなわち「脳の個性」。私たちが日常で何気なく行なっていることはもちろん、「なぜだろう?」と思っている行動の中にも「脳」が大きく絡んでいることがあります。「脳」を知ることは、あなたの中にある「なぜ?」を知ることにもなるのです。この連載では、脳のトリビアともいえる意外な脳の姿を紹介していきます。

「心の病」は
なぜ起こるのか?

ノイローゼやうつ病、統合失調症など、「心の病」はなぜ起こるのでしょうか。最新の脳研究で、こうした心の病気と脳の関係が少しずつわかってきました。

 他の動物に心があるかどうかは別として、人間には確かに心があり、ときに人間はその心を病んでしまいます。統合失調症や躁うつ病などがその代表的な例でしょう。厳密な意味では、精神的な病=心の病は人間に特有の病だといえます。

 しかし人間の脳の働きの基本は、他の哺乳動物と変わらないので、ペットたちにも当然、「気分」のアップダウンがあって、落ち込む時もあるのでしょう。

 いずれにせよ、「心の病」はもちろん、すべて脳の働きの不全によっておこるのです。

脳内物質のコントロールで
症状は改善できる

 統合失調症は重症の心の病とされ、その症状はうつ状態に陥ったり、ときには妄想や幻覚を伴い、現実離れした言動に走ることも少なくありません。そうなれば、他人とのコミュニケーションは一般的にむずかしくなってきます。