スタートアップが成功できるか、失敗して消えてしまうか? それを決めるのは、Product Market Fit(PMF:プロダクト・マーケット・フィット/市場で顧客に愛される製品・サービスを作ること)を達成できるかどうかにかかっている。増補改訂版 起業の科学 スタートアップサイエンスVer.2』(田所雅之著、ダイヤモンド社)は、起業家の8割が読み、5割が実践する起業本のベストセラー『起業の科学』を9年ぶりに大改訂した最新版本連載では同書から抜粋して、スタートアップの成長を加速するポイントについて、わかりやすくお伝えしていきます

次のトレンドを狙うなら、15歳以下が注目しているテクノロジー/領域に注目せよPhoto: AlexPhotoStock/Adobe Stock

テクノロジーに対して抱く感覚を
3世代に分類した理論

ダグラス・アダムスの法則」という言葉をご存じだろうか。

「ダグラス・アダムスの法則」とは、人間が新しいテクノロジーに対して抱く感覚を、3世代に分類した理論である。

 この法則では、誕生時点で既に存在していたテクノロジーに対しては自然に受け止め、15歳~35歳に発明されたテクノロジーについては新しく刺激的だと感じ、35歳以降に発明されたテクノロジーに関しては、不自然で世界の秩序を乱すものだと感じる傾向があることを示している。

年配者が拒否しているものにこそ
重要な事業の芽が隠れている

 この前提に立つと、特に年配者が拒否しているものにこそ、重要な事業の芽が隠れていることに気づく。

 この法則をRoblox(ロブロックス、ゲームを作成・共有・プレイできるオンラインプラットフォーム)に当てはめると、次世代市場の革命的変化が見えてくる。

 現在15歳以下の「ロブロックス世代」にとって、ゲーム制作、仮想通貨取引、デジタル空間での社交活動は当たり前の日常で、彼らは熱狂している。

 ロブロックスの売上高は36億ドル(約5,652億円)に達し、時価総額は約920億ドル(約14.4兆円)に膨らんだ。

 日間アクティブユーザー数は8,530万人、年間エンゲージメント時間は735億時間という規模になっている。

 親世代の多くの大人はロブロックスを現役でプレイしたことがなく、「ゲーム依存」や「課金の危険性」の懸念のほうが大きい。

 まさに、「ダグラス・アダムスの法則」が示す世代間認識ギャップの典型例といえるだろう。

(本稿は増補改訂版 起業の科学 スタートアップサイエンスVer.2の一部を抜粋・編集したものです)

田所雅之(たどころ・まさゆき)
株式会社ユニコーンファーム 代表取締役CEO
1978年生まれ。大学を卒業後、外資系のコンサルティングファームに入社し、経営戦略コンサルティングなどに従事。独立後は、日本で企業向け研修会社と経営コンサルティング会社、エドテック(教育技術)のスタートアップの3社、米国でECプラットフォームのスタートアップを起業し、シリコンバレーで活動した。
日本に帰国後、米国シリコンバレーのベンチャーキャピタルのベンチャーパートナーを務めた。また、欧州最大級のスタートアップイベントのアジア版、Pioneers Asiaなどで、スライド資料やプレゼンなどを基に世界各地のスタートアップ約1500社の評価を行ってきた。これまで日本とシリコンバレーのスタートアップ数十社の戦略アドバイザーやボードメンバーを務めてきた。
2017年、新たにスタートアップの支援会社ユニコーンファームを設立、代表取締役社長に就任。その経験を生かして作成したスライド集『スタートアップサイエンス2017』は全世界で約5万回シェアという大きな反響を呼んだ。
主な著書に『起業の科学』『入門 起業の科学』(以上、日経BP)、『起業大全』『「起業参謀」の戦略書』(ダイヤモンド社)など。