退社時の引き継ぎ作業を見て上司も仰天
「派遣さん」の仕事の質量は正社員3人分?
ある「派遣さん」の話だ。
彼女は、中堅企業の専門プロジェクトの総務兼経理として、4年前に雇われていた。その前には同じ会社の別部門で働いていたため、すぐに仕事も覚え、気がつくとそのプロジェクトの専門家となっていた。
その彼女は家族の都合で、この夏に退社することになった。
基本的に、そのプロジェクトの総務関係および取引先との交渉窓口は、全て彼女が行っていたので、その仕事量はかなりのもので、夏の退社に備えて今から引き継ぎ作業を行う必要があった。
「正社員」である彼女の直属の上司は、その引き継ぎ作業を始めて、度胆を抜かれたという。
彼女の行ってきた仕事量とその質の高さは、平凡な正社員の比ではなかった。また、引き継ぎに備え、誰にでもわかるように、ファイル、フォルダ類を全て簡潔に整理し、自分の退社以降想定される仕事の書類のひな型もすべて揃えてあった。提出時にアップデートされているであろうデータをはめ込むだけで、提出可能な状態にまで準備されていたのだ。
また、自分の退社以降に不明な点が生じた場合、どの資料を参照すべきか、取引先や他部署の誰に問い合わせるべきかの情報も、全てファイルに埋め込まれていた。
その上司は、小さな子どもが2人いて、同じく仕事をしている奥さんとともに、仕事と子育てを両立している「イクメン」だ。したがって、子育てしながらの業務の大変さはよくわかっていた。
その「派遣さん」も、同じく小さな子どもが2人いて、定時より1時間早く退社する契約となっていた。つまり残業、土日の就労は一切なしで働いていたのだ。