10日19時の時点で350人超の大行列。国立競技場方面へと伸び続けている。 |
7月11日発売のアップルの携帯電話「iPhone 3G」をいち早く手に入れようと、先行発売する原宿ではすでに数百人規模の長い行列ができている。
列は数日前から表参道と明治通りの交差点からほど近い「ソフトバンクショップ表参道店」を先頭に、JR原宿駅方向へとできはじめたが、10日の18時頃、行列が200人を超えたあたりで、最後尾が駅付近まで到達したため、19時現在では横断歩道越しに道路の反対側へ折り返し、国立競技場方面に伸び続けている。19時現在で350人を超えたという。
一番乗りは名古屋の大学院生、佐野博之さん。8日朝から並んでいる。 |
「夜行列車に乗って、名古屋からiPhoneをゲットしにきました」というのは、一番乗りの大学院生の佐野博之くん。
遠路、名古屋から表参道に着いたのは8日火曜の朝6時30分とのこと。日本国内のソフトバンクショップでの発売は、11日正午からであるが、ここ表参道店は朝7時から先行発売を行う。各メディアがこの盛況ぶりや、先行発売を伝える前から、独自で店舗のイベント情報などを調べ、ここ表参道店に当たりを付けてやってきたとのこと。つまり彼こそが全国で誰よりも早くiPhoneを購入できる名誉の人物ということになる。
実は、何を隠そう筆者自身、10日の13時頃に「表参道」へ到着し、現在ノートPCを拡げて道ばたでこの原稿を書いている。
そもそもなぜ、こういう状況になったかといえば、今回のiPhone 3Gは、これまでのアップル製品と異なり、アップル直営店やオンラインショップでは取り扱いをせず、ソフトバンクショップのみで販売することになったためだ。
筆者自身のことを言うと、iPhone 3Gが発表された先月、地元近くのソフトバンクショップで「発売日当日に手に入るかどうかは確約はできない」ということを条件に予約をしていたのだが、昨日そのショップから「当日は5台程度しか入荷の予定がないため、5人目以降の予約の方は断りとなります」との電話がかかってきた。
つまり私は5人の中に入れなかったということだ。こうして、唯一の望みを失った私は、他のiPhone 3Gを手に入れようとしている方々といっしょに原宿の暑い夜を過ごすことになったのだ。
店内の様子をのぞいてみるとと、これまでのディズニーケータイのポップが外され、iPhone 3Gのロゴの入った巨大ポスターがガラスウィンドウに現れ、だいぶ雰囲気が変わったように思える。スタッフの方々も慌ただしく何かを準備している感じで忙しそうだ。今日は朝から各テレビ局の取材クルーがひっきりなしに訪れては、列を撮影し、アンケートを取ったりしていた。
列全体を見渡すと、先頭付近では、狙いがデジタル商品ということもあってか男性客が多いようだが、列の後方では女性客も何人か並んでいる。iPodやiPod touchで音楽を聴いている人はもちろん、ノートPCを拡げて仕事をしている人や、読書やゲームなど、それぞれが必須の「徹夜アイテム」を手に、発売時刻を待っている。世界同時発売のiPhone 3Gではあるが、時差の関係で一番早く手に入れられるのは日本ということもあり、外国人客や海外メディアの姿も目に入った。
ウィークデーの今日と明日ではあるが、この後も会社帰りのサラリーマンが徹夜覚悟で並ぶ可能性は非常に高い。実際夕方から最後尾が私のいる場所から遠のく速度が早くなった。
筆者も同一の目的を共有する仲間たちと、今夜がんばってみようと思う。
(写真・文 渡辺秋男)