前回述べたように、最近の実質GDP(国内総生産)の成長を支えているのは、実質家計消費の成長だ。これは、最近だけの現象ではなく、しばらく前から顕著になっている現象である。

 したがって、今後の日本経済成長を考えるにあたって重要なのは、なぜ実質家計消費が成長しているのか、その原因を正しく知ることだ。そして、実質GDPの継続的な成長を望むのであれば、実質家計消費の増加が将来も継続するような環境を整えることである。

実質家計消費の伸びが実質GDP成長を支えている

 図表1に示すように、実質家計最終消費支出は、順調に伸びている。

 2001年からの推移を他の需要項目と比べると、以下に述べるように、実質家計消費の増加が印象的だ(以下の数字は、実質季節調整系列、年率)。

 実質GDPは、リーマンショック直後に大きく落ち込んだ。いまに至るまで、リーマン前のピーク(2008年1-3月期の529兆円)を取り戻せない。具体的には、ピークより0.7%ほど低い水準にある。