裸眼3D機能と折りたたみ機能を廃した「ニンテンドー2DS」 (c)2013 Nintendo

 米国任天堂は現地時間8月28日、携帯ゲーム機「ニンテンドー3DS」の3D機能を外した廉価版「ニンテンドー2DS」を10月12日から発売すると発表した。2DSの価格は122.99米ドルで、標準版「3DS」(169米ドル)より40米ドル、画面拡張版「3DSLL」(199米ドル)よりも70米ドル安く設定されている。

 この2DSは米国のほかに英国と豪州で発売されるが、日本の任天堂によると「日本での発売は予定されていない」(広報室)という。それは、なぜなのだろうか。

2DS施策は完全なポケモンシフト
会社のプライド以上に大切なポケモンの売上

「ニンテンドー2DS」の発表は、発売予定がない日本の業界関係者やゲームファンの間でも大きな衝撃をもって迎えられた。3DSのメインコンセプトである裸眼3D機能を外したことと、「ニンテンドーDS」シリーズから継続されていた二つ折りをやめてスマートフォンを思わせる一枚板デザインを採用したことも、ゲームユーザーには任天堂の「迷走」と映っており、特に従来からの任天堂ファンの失望を誘っている。

 しかし、筆者ら(石島、小山)は今回の2DS施策を任天堂の迷走とは捉えておらず、むしろ、任天堂復活の一里塚になりうると考えている。その理由は、2DS発売を全世界同時発売予定のポケモン新作「ポケットモンスターX・Y」と同日の10月12日に行うことに尽きる。

 つまり、今回の2DS施策は完全に「ポケモンシフト」であるということだ。岩田聡社長がコミットメントした2014年3月期決算における営業益1000億円達成のためには、ポケモンを全世界で1000万本以上売ることが不可欠であり、そのために2DSを出した、と考える方がしっくりくる。

 なぜ、ポケモンがそれほどまでに重要なのか。