また、一般的な起業の本や起業セミナーなどでは、「今の会社がイヤだから起業したい」といった「後ろ向きの動機ではうまくいかない」といっていることが多いと思いますが、私はそれも事業を成功させる原動力となる立派な動機だと断言します。

 そのような気持ちは、「自分が置かれている状況をなんとか変えたい」という強い改善意欲の表れだからです。もちろん、成功するためには、今の仕事のプレッシャーから逃げる目的だけでは足りず、それに加えて「つらくてもしっかり自分で稼ぎたい」という強い動機も持ち合わせている必要があります。

 起業の動機は必ずしも1つである必要はなく、たとえば「自己実現を図りたい」「社会貢献したい」「金持ちになりたい」という複数の動機から起業を決意することもありえます。堂々と人に話せるような立派な動機だけではなく、下世話な欲望も併せ持っているなら、それも「起業ノート」に書き込んでおくことをお勧めします。

 起業の動機は人によってさまざまですが、重要なのは、起業準備の段階、あるいは起業後に多くの困難に直面しても、それを乗り越えていく原動力になるよう、常にしっかりと認識しておくことです。心が折れそうになったとき、以前に書いた下世話な動機を見返すと、当時の気持ちがよみがえり、問題を乗り越えていこうという活力が自然と出てくるものなのです。


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