このアンケート結果では、「仕事を通じて自己実現を目指したい」「自分の裁量で自由に仕事をしたい」「社会に貢献したい」といった回答が上位を占めています。実際、私が、これまで起業志望者に対して「起業したいと思う理由は何ですか?」と質問をすると、ほとんどの人がこのような回答をしています。

 ところが、「もっとほかにも動機があるでしょう?」と突っ込んで聞くと、「金持ちになりたい」「実業家として有名になって歴史に名を残したい」といった、欲望的な動機がある人も少なくありません。中には、「モテるようになって、アイドルと付き合いたい」という強者までいました。

 実は、私の経験では、起業動機にこのような下世話な欲望がある人のほうが、事業を軌道に乗せることに成功しているのです。

 起業して事業を長く続けるためには、原動力となる強い動機が欠かせません。事業をしていると、必ずといっていいほどさまざまなトラブルに直面して心が折れそうになることがあります。そうしたトラブルを乗り越えて、事業を継続させるためには、「社会貢献したい」といった立派な動機だけではなく、「私利私欲」から湧き出てくる動機も必要なのです。

 事業活動を続けるためにもっとも重要なのは「利益を出し続ける」ということですから、「儲けたい」という意欲はとても大切なのです。

 もしあなたに、起業して実現したい下世話な欲望があるとすれば、成功する確率が高いと思ってください。そのような動機は、あえて人にいうべきことではありませんが、「こんなことを考えているのはよくないのだろうか……」と思い悩む必要はないのです。