「地域にあるはずの会社がない」
ファンドの力で長期的に関わることを決断

――そもそも、なぜこのファンドを立ち上げようと思われたのでしょう。

小松 実は当社も、震災直後は寄付金集めをしていたんですよ。でも1週間後くらいに「もっと長期的にコミットしなきゃいけないのでは」と思いはじめました。

――現地に行かれたのですか。

小松 私が現地に入ったのは、ファンドが立ち上がる数日前です。それまでは、現地と東京とで役割を分担して、ファンド立ち上げに向けて動いていました。
 東北に向かった社員が現地に入ったのは、震災直後の4月1日。ちょうど震災前に購入した社用車が、震災直後の混乱のなか、納車されたんです。それを使って、すぐに社員が東北へ。ガソリン不足のなか、よく辿り着いたと思います。

――東北で何を見たのでしょう。

小松 社員からの電話で、「想像以上の大きな被災だ」という報告を受けました。特に、「会社がない」とつぶやいていたのが印象的でした。地域にあるはずの、地域を支える会社がない、と。

――それが「セキュリテ被災地応援ファンド」のはじまりですか。

小松 はい。当社は東北の事業者とのご縁が薄かったので、まずはツイッターで知り合った宮城県庁の方に、現地の事業者さんをご紹介いただいたのですが……。
 魅力的な事業者さんがたくさんいらっしゃったんです。

――へえ!

小松 「被災地」という眼鏡を外しても、ものづくりに貫く「なにか」を持っている。すぐに、彼らと「一緒に」「みんなで」頑張りたい、という気持ちになりました。ファンドが立ち上がったのが、4月25日のことです。

――震災1ヵ月後とは、早いですね!