東日本大震災の復興支援活動で、糸井重里氏も驚くほどの成果をあげている一人の学者がいる。西條剛央(37)。ボランティア経験なしの早大大学院(MBA)専任講師で、「ふんばろう東日本支援プロジェクト」代表だ。
Amazonの「ほしい物リスト」を援用し、2万4000個の物資を被災地へ届けたり、「重機免許取得プロジェクト」で計200人以上の免許取得者を出したりと、誰も思いつかないアイディアを実行。行政や日本赤十字社もできない支援の仕組みに注目が集まっている。
猪瀬直樹東京都副知事、柿沢未途衆議院議員から、GACKT氏、宮本亜門氏、市村正親氏、大竹しのぶ氏、木村佳乃氏、佐藤隆太氏、成宮寛貴氏、藤原紀香 氏、別所哲也氏、松田美由紀氏、南果歩氏、森公美子氏、森山未來氏など、事務所の垣根を越え、有名人からも続々支援の手が差し伸べられているのはなぜか。 話題となっている『人を助けるすんごい仕組み』を発刊したばかりの著者を直撃。最終回は、著名人の方々といかにしてつながり、力を合わせていったのか、について聞いてみた。
――連載第1回の冒頭に、宮本亜門さんも協力してくださっているという話がありましたが。
西條 はい、これもGACKTさんのときと同じで、突然、本人から連絡がきたんです。「ほぼ日」の『西條剛央さんの、すんごいアイディア。』という連載をご覧になり、考え方にすごい共感してくださったみたいで。
――考え方、というと?
西條 従来のやり方に固執してうまく動けなくなってしまう行政に対して、「方法の原理」に沿ってどんどん新しいやり方を進めていくといったところや、支援金が直接被災者支援に使われる、といったところとか。とてもエネルギーと慈愛に溢れた方で、「僕はこれからだと思っていて、復興支援活動を長く続けていきたいと思っています」と。
連絡がきたのは去年の10月くらいだったんですよ。震災から半年がすぎて、世間の関心が急激に低くなってきた頃だったので頼もしかったですね。
――遅いなんてことはないんですね。
西條 はい。逆に最初に寄付金ドンとあげてしまった方とか、満足してしまった人は、その後は「もうやったから」と言って何もしなくなる、ということもあるみたいです。かえって、「ずっと気になっていたけど、赤十字は届かないっていうし、何をしたらよいかわからなくて」といった方が、「ふんばろう東日本支援プロジェクト」(以下、「ふんばろう」)を見つけて、フェイスブックのグループに入ってすごい活躍される、という方もけっこういらっしゃいます。
特に「冬物家電プロジェクト」のときは、一気に150人の方が入ってくれて、これは本当に助かりましたね。
日本赤十字社や国の支援を受けられない個人避難宅の方やアパートの借り上げ住宅に住んでいる方に支援をするために、「申請制」にしたのです。罹災証明書のコピーと一緒に申し込んでくれたら、コタツやホットカーペットといった希望の冬物家電を支援しますよ、と。
そうしたら、1万世帯以上から申込みがきて、その中にたくさんの手紙があったのですが、なかにはこんな衝撃的な手紙も入っていたんです。
本当にまったく支援を受けたことがない、という人もたくさんいるんです。「同じように津波に家も何もかも流されて、家族を失って、なのに、なぜ支援を受けられないのか。何が違うのか」という哀しみが綴られていて。
――こんな状況で暮らしている方がいるんですね……じっと見てると涙が出てきますねえ。