8月の終わり、筆者は、普段暮らしている米国を離れ、東京と長野に滞在していたが、本当に暑い夏だった。
そんな夏に、Twitterの画像が問題となる事件がたくさん起きていたことに驚いた。おそらく暑かったのだろう。しかし当たり前だが、商品(食品)が入った冷蔵ケースに入るのは、いいわけがない。さらに写真で撮影しTwitterに投稿してしまったのだ。これによってお店が閉店となったり、機材を交換したり、実際に店舗に損害を与え、いたずらの主が損害賠償を負うケースも出てきた。
周囲のTwitterユーザーやメディアが過剰に反応しているという側面もある。あるいは「若気の至り」で片付く話だったかもしれない。
しかし誰がやったかが記録され、そのときにどんな状況だったのか、どのように広まったのか、まで、Twitter上で克明に明らかになっている点は、一昔前のいたずらと違う。まさに、前回ご紹介したデジタル・タトゥーの弊害であるが、100年後に嘲笑される話ではなく、数時間後に大問題になってしまうという、テンポの速い話だ。これは弊害というより、その人にとって実害になってしまった。
そうしたやんちゃをTwitterに流したとき、何が起きるのかを教えられる人はいなかったのだろうか。あるいは、想像することはできなかったのだろうか。失敗して覚えるということもあるが、その失敗に1000万円の損害賠償がついては割に合わない。
「子どもをネットから
遠ざけなければならない」?
Twitterでの炎上問題に加え、ネット依存やLINEいじめなど、ネットやケータイなど、デジタルサービスや機器に関する問題には事欠かない。大抵のヒットした新しいサービスには、「依存」や「いじめ」などの言葉が付けられネガティブに報じられる。しかしふたを開けてみれば、課金超過や情報発信ツールでの問題、コミュニケーションの問題などが中心だ。
時代ごとにツールが変わっても、問題の中身には大きな違いはない。裏返せば、ツールの違いを吸収するような大枠の考え方を伝えることで、これらの問題が大きくなることを防げるのではないか。
こうした問題について、ある高校の校長先生と議論する機会があった。その席で校長は、口をつくように「子どもをネットから遠ざけなければならない」と語っていたのが印象的だった。