2020年の夏季オリンピックとパラリンピックは、東京開催に決定した。北京五輪以来、3大会ぶりのアジアでの開催である。とはいえ、ここ上海での反応はいまひとつだ。日本人の歓喜の声や膨らむ期待は、いま筆者が過ごしている上海の市井には伝わってこない。

 そもそも、一部メディアが招致決定の瞬間を捉えた映像を流したものの、東京招致の成功は大々的には取り上げられてはいない。

 竹島問題を抱える韓国では、「東京五輪などボイコットすべきだ」と論じる現地メディアの主張が日本でも報道されたようだが、中国はある意味、大人の振るまいを見せているともいえる。

 そこで、中国語のインターネットサイトを覗いてみた。しかしながら、そのトーンは韓国ほど露骨ではないものの、祝賀を贈る声などほとんどなかった。

ひしひしと伝わってくる
「やっかみの声」

「新浪体育」というサイトは、東京五輪招致の成功に「2020奥運縁何花落東京 金銭攻勢不可阻◎(開催地はなぜ東京に 金銭攻勢遮れず、◎の文字は手偏に当)」と題した記事を掲載した。

 記事の冒頭は、招致成功をまるで金で買ったかのような、招致予算の批判から始まる。

「東京は五輪招致のために500~600億円も投下した。米ドルにして6億ドルである。マドリードとイスタンブールは4億ドルにとどめたにもかかわらず、だ」

 ちなみに2020年東京オリンピック・パラリンピック招致委員会公式ホームページによれば、投下した費用は75億円(8330万ドル)だ。この記事では原発汚染水処理対策費の470億円を招致予算とみなした可能性がある。