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スマートフォンの理想と現実

日本はキャッチアップできるか?
見えてきた通信と放送、サービス融合の近未来

クロサカタツヤ [株式会社 企/株式会社TNC 代表]
【第51回】 2013年9月25日
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世界中の公共放送を視聴できる「SPB TV」 Photo by T.K.

 今回も、世界中の公共放送を視聴できる「SPB TV」というサービスが参加していた。単なるアグリゲーションサービスといえばそれまでだが、こうしたサービスが一定以上の規模で支持を集めるとなると、もはや「アナザー」ではなく「1台目のスクリーン」の地位さえもうかがう勢いだと言える。逆に言えば、そうした勢いを無視できなくなったがために、IBCも今回のようなテーマを設定したのだろう。

収益モデルを探る

 一方、こうしたサービスが今後どのような収益モデルを確立していくのかは、いまだ道半ばである。なにしろ、日常生活におけるテレビの位置づけや役割、それに対するコスト負担、通信が代替しうる機能、通信インフラ、といった項目によって構成される高次元の連立方程式を解く話である。そう簡単には道筋が見えない。

 今回IBCに参加したコネクテッドTV関連の事業者からは、この付加価値を獲得する提案として、いくつかの異なるアプローチが示されていた。その一つは、スマートハウス。家庭全体のオートメーション化をテレビ中心に進めるアプローチである。前述のインテル等は、こうしたアプローチだといえるだろう。

 確かに、パネルの価格も低下する中、テレビが今後も家庭の中心に置かれる蓋然性は高い。そして情報の窓としてだけでなく、家中のコントローラーとしてテレビを位置づけたい、という考え方は、理解できる。

 ただ、コントローラーだとすると、スマートフォンやタブレットの方が、使い勝手はいい。またスマートハウスに向かうほど、テレビそのものはコンテンツサービスから離れていく方向に進む。資源の節約やコミュニティでの全体最適といった、スマートハウスの本来的な目的を考えれば、その普及のためのドライバは、コンテンツサービスではなく、エネルギーやヘルスケアとなるだろう。つまり、やや距離感がある、ということだ。

 それよりも可能性を感じたのはSTB、それもCATVベースではなくインターネットベースの、独立型STBである。

 実は、世界市場ではすでに、Xbox、PS3、Wiiというゲームコンソールが、STBとしての地位を巡り競い合っている。すでに、北米市場において雌雄は決しているといわれ、Xboxが独立型STBの勝者だというのがコンセンサスとなっている

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クロサカタツヤ
[株式会社 企(くわだて)代表取締役、慶應義塾大学特任准教授]

1975年生まれ。慶應義塾大学・大学院(政策・メディア研究科)修了後、三菱総合研究所にて情報通信分野のコンサルティングや国内外の政策調査等に従事。その後2007年に独立し、現在は株式会社企(くわだて)代表として、通信・メディア産業の経営戦略立案や資本政策のアドバイザー業務を行う。16年より慶應大学大学院政策・メディア研究科特任准教授。


スマートフォンの理想と現実

2011年はスマートフォンの普及が本格化する年になる…。業界関係者の誰しもがそう予感していた矢先に発生した東日本大震災は、社会におけるケータイの位置づけを大きく変えた。しかし、スマートフォンの生産に影響が及びつつも、通信事業者各社はその普及を引き続き目指し、消費者もまたそれに呼応している。震災を受けて日本社会自体が変わらなければならない時に、スマホを含むケータイはどんな役割を果たしうるのか。ユーザー意識、端末開発、インフラ動向、ビジネスモデル等、様々な観点からその可能性と課題に迫る。

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