この構造は、中国に投資する人にとってはある意味安心材料となります。これは、中国が米国の、そして世界の経済発展の主要なエンジンになっているということですが、そうすると、米国としても、中国を支援せざるを得ない。中国経済が崩壊して、最も大きな影響を受けるのは米国かもしれません。

 米国の議会が、人民元の切り上げを叫んでも、少なくとも米国の産業界は支持しない。人為的に切り上げを阻止することによる歪みが蓄積することのリスクを考え、ソフトランディングすることは求めても、急激な切り上げ要求は米国も怖くてできない。これらは全て中国の目先の安定要因として働くことはまちがいありません。

歪みの解消に
動き始めた中国政府

 しかし一方で、蓄積する社会の歪みは、放って置くと、長期的に不安定要因になる可能性もあります。

 人為的な人民元レートのほか、安い労働力も1つの歪みの結果です。なぜ工場労働者の賃金が安いかというと、それは、農民からの安い食料買い上げ価格と関係があります。

 中国政府は、食料買い上げ価格を人為的に安く維持することにより、工業と都市部の発展に回してきたわけですが、それにより、相対的に貧しい農民が存在し、農民が貧しいからこそ、安い賃金で工場の労働者として供給されたということです。そして、それが行過ぎた結果が農民の暴動や農地の荒廃、環境破壊にあるわけです。

 当然、中国政府も、こうした問題は認識しており、これまでの歪みから生じる国内問題、すなわち、環境問題、貧富の格差、農民暴動などに正面から取り組もうとしています。