大西 現在、日米で認可されている人工甘味料は、1. サッカリン、2. アスパルテーム、3. アセスルファムカリウム、4. スクラロース、5. ネオテームの5種類で、いずれも化学合成によって作成された食品添加物です。このうち、サッカリンは発がん性リスクの懸念から多くの先進国で使用が激減していますが、日本では減少しつつも一部の加工食品や歯磨き粉などに根強く添加されていますね。

安部司(あべ・つかさ)福岡県生まれ。山口大学文理学部化学科卒。添加物商社勤務後、無添加食品・自然海塩の開発・推進に携わり、現在に至る。処女作『食品の裏側 みんな大好きな食品添加物』(東洋経済新報社、2005年)は60万部を超えるベストセラーとなり、年内に続編を発売予定。有機農業JAS判定員。水質第1種公害防止管理者。工業所有権 食品製造特許4件取得。

安部 日本では今でも、サッカリンナトリウムは漬け物などにたくさん使用されていますね。カナダでは禁止になりましたが、同国とは製造工程が違うという理由で日本では再承認されていますから。技術的に言えば、最も砂糖に近いのはスクラロース。アスパルテームは弱酸性下でなければ安定せず、体内で分解されて別の成分になりかねないことが怖い。しかも、アスパルテームには遺伝子組み換え技術が用いられています。

大西 いずれの人工甘味料も肥満を助長する要素を持っていますし、それらを摂取することで私たちの身体や脳に様々な反応が生じる、という認識が、日本でももっと広がるといいなと思います。たとえば、アスパルテームの安全性については専門家の間でも意見が分かれていますが、知能低下や発がん性の疑いが指摘されています。また、アセスルファムカリウムも、発がん性物質の塩化メチレンを含んでいて長期的な経過観察が必要ですし、やはりインスリンの分泌を促すことがわかっています。

安部 食品の安全性は、親・子・孫の3世代にわたってその影響を検証してみないと結論づけられませんが、ラットなどの動物実験はせいぜい2世代までにとどまるのが一般的ですよね。人工甘味料に関しては、まだまだ安全性が担保されているとは言いがたい状況だと思います。

大西 そうですね。近年ようやく分かってきたことが色々あります。スクラロースにしても、砂糖に近い甘みがあるため、コーラをはじめとする清涼飲料水やアイスクリーム、お菓子などに幅広く使用されていますが、最近になって血糖やインスリンに作用することが報告されました。さらにネオテームについては、アスパルテームの構造に米国環境保護庁が最も有害な化学物質リストに掲げる「3・3―ジメチルブチルアルデヒド」を加えて精製されていることが問題視されています。