東芝の田中久雄社長は、8月7日の説明会で、初めて社長としての経営方針を内外に示した。ここでは『週刊ダイヤモンド』9月7日号特集2「東芝 “異例の新社長”が背負う二つの宿命」のワイド版として、田中社長の真意にさらに迫る、インタビューのロングバージョンをお届けする。
Photo by Kazutoshi Sumitomo
――縦割り意識が強い東芝で、大規模な組織再編に踏み込みました。
組織に完璧なものはないと思っています。そして、前回の大きな組織変更は2003年ですから10年たっている。その間、事業の中身や市場の状況、競合他社を含めて変わってきていますから、それに合わせて組織も変えなければいけない。
「スマートコミュニティやヘルスケアに注力する」と、東芝が目指す方向性を外部へ明確に打ち出すのが最大のポイントですね。それと、組織が変われば社員も今までの殻を破らなければいけないんだと、意識が変わるのも重要だと思っています。
――経営方針説明会で発表した新体制の原案から進捗はありましたか。
人事を含めて考えているところです。というのは、組織の中身が変われば当然、社内カンパニーあるいはその上のくくりである事業グループのトップも含めて、人事が変わってきますよね。それを今、私の中でいろいろ案を練っているところです。
――それで真の田中体制完成ですか。
そうしたいと思っています。ただ、今の執行役体制は、私が社長になる前の段階で「もうお前が決めろ」と言われていたので、ほぼ私の構想でつくったわけです。今度はその執行役員たちを、新しい組織のポストとどう組み合わせていくかなので、これは私の仕事かと思っています。