2月の社長就任会見では、西田厚聰会長と佐々木則夫社長(当時。現副会長)という首脳級2人の経営をめぐる価値観のズレが明らかになった東芝。その中で田中新社長がいかに独自色を出せるか。

たなか・ひさお/1950年生まれ。神戸生まれの神戸育ちで、神戸商科大学の商経学部を卒業後、東芝に入社。40年の勤務のうち、14年余りを英 国、米 国、フィリピンなどの海外で過ごす。出身畑は資材調達で、役員昇格後は社長補佐や戦略企画、ロジスティクス、品質、生産など幅広い業務を担当してきた。そ して、2013年6月25日、調達部門からは初となる東芝の社長に就任
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――8月に新しい中期経営計画を発表します。田中新社長の“色”はどれほど出せているのでしょうか。

 私の意向で作っています。昨年の11月に全グループの役員を集めて、1日ディスカッションしました。

 今回の特徴は、世界の変化を2020年まで見通して、それをベースにこの3年間で何をやるかを話し合ったことです。この先3年間だけを見て計画を立てても、当たらないことが多いんです。過去の例を見ますとね。

 現在注力しているエネルギー事業と、ビッグデータ関連のストレージ事業以外に、新しく注力するものを打ち出していきます。

――まったく新しいものが出てくるのでしょうか。それとも今までの戦略の延長線上で、より特化したものが出てくるのか。

 えーっと、それを言っちゃうと、8月(の中計発表)があんまり面白くないんで言いませんけども、基本的には現在われわれがやっている事業の中からです。

 例えば、ファッション業界にいきますとか、そういうアッと驚くのはないです(笑)。今やっているものをまとめて注力的な事業に成長させていくというかたちですね。ぜひ、ご期待いただきたいと思いますけども。

 また、売上高の規模は、ずっと少しずつ下がってきている状況なので、これからは攻めの経営といいますか、成長実現に向けて、力を入れていきたいです。